第14話 緊張
「今回の依頼の指揮を任されたゴルバだ。 ゴブリンの群れは集落を作っている。 場所は、王都から南方魔の森に向けて約1日程の距離。 偵察によると数は最低50匹。 いいか? 最低で50匹、これより多くいると想定しておいてくれ。 また、その数からいって亜種や希少種が率いているというのもまず間違い無いだろう。 出発は今日の12時、準備が出来た者から正門前に集合。 道中で一泊して、集落付近に明日の昼過ぎに到着する予定で進む。 その後に夜まで休憩を挟んで夜襲を行う計画だ、質問はあるか?」
ゴルバの問いかけに、冒険者の1人が口を開く。
「物資と移動手段はギルドの方で用意してくれると考えていいのか?」
「ああ、独自に用意出来るというのなら、そちらを使っても構わない」
冒険者達からの質問に淀みなく答えるゴルバ。
「よし、他に質問は無いな? それじゃあ、最後にそれぞれ何が出来るかを俺に教えてくれ。 当然隠しておきたいものに関してはそれでも構わない」
順番にゴルバに出来ることを説明していき、終了次第、解散となった。
解散した後、エインと相談しながら必要な物資の買い出しに行き、そのまま集合場所の正門前へと向かった。
「全員揃ったな、出発するぞ」
後に時間となり、全員確認終えゴブリンの集落へと向かう。
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パチッパチッと焚き火の燃える音が周囲に響き、夏樹とエインの休んでいるテントの中にもその音が聞こえてくる。
月明かりと焚き火の明かりのみが周囲を照らす光源となり、数人の冒険者達がその焚き火の周りで警戒をしていた。
王都からの道中、襲ってきた魔物は下級ばかり。大きな問題もなく進んで現在は野営している。既に見張り以外はパーティごとに割り当てられたテントで休んでいた。
夏樹とエインに見張り交代が回ってきた。
「よぉ、ナツキは緊張しているのか?」
ガハルドのパーティも見張りの時間のようだ。知らず知らずのうちに身体が強張っていたようで見抜かれる。
「集団戦、夜襲全てが初めてだからかな」
「はははは! そうか、初めてじゃあ緊張するだろうよ。 それにしても、お前は本当にチグハグな存在だな。 明らかに他の奴らより強いにも関わらず、道中の魔物戦でも、今も緊張している。 力を得た素人、そんな印象だよ。 ……お前は何者だ」
少しガハルドの纏う雰囲気が鋭くなる。
エインが話そうとするのを夏樹は遮る。
「何者なんだろうな、俺にも分からないよ」
「がははははは! おいおい、神妙になった俺が馬鹿みてぇじゃねぇか。 何を開き直ったんだよ、ったく。 あぁ、散策はしねぇよ。 どちらにせよ、眼が見えない状態で戦える異常さを覚えておけ。 あぁそれと、今回の依頼、過去最高に嫌な予感がする……油断するんじゃねぇぞ」
「ありがとう、ガハルド……」
「がははははは! いいってことよ! ちゃちゃっと依頼終えて飲みにでも行こうぜ」
「あ、あぁ……」
ガハルドよ、それはフラグだ。
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