第10話 初依頼

 夏樹とエインはさっそく依頼を受けるためにボードの前にいた。


 「なぁ、手頃な依頼ありそう?」


 「はい! 良い物を見つけましたよ! レッドドラゴンの討伐です!」


 「どう考えてもヤバいよね!? その依頼! そもそも俺はGランクだからな? その辺考えて選んでくれよ」


 「もう仕方ないですねぇ……あ、これならどうですか? ゴブリンの討伐ですって」


 ゴブリン……ファンタジー系の定番だな。

 依頼用紙を剥がし、受付嬢ラーヤの元へと持っていく。


 「はい、受領しました! 準備を怠ってはいけませんよ。 どんな依頼でも一瞬の油断が命取りになります。 無事に戻ってきてくださいね、気をつけて」


 ラーヤにお礼を言ってギルドを後にする。


 エインと一緒に必要な買い物をして、もう日が落ち始めていたため、今日のところは解散となり王宮の自室へと戻った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 翌日、エインと共に王都の南方に位置する魔の森に向かった。魔の森とは、最低ランクのFから最高ランクのSまで様々な魔物が生息する魔境である。奥に行けば行くほど強い魔物が現れるような作りになっている。


 今回、討伐するゴブリンは最低のFランクであり、森の外周、浅い場所に生息している。


 「グギャッ! グキマャギャ!」


 あれか……反響定位エコーロケーションでは、シルエットしか分からないがテンプレ通りなら緑色なのだろう。身長は小学校低学年程度か?5匹いる。


 「初の魔物戦だし、俺にやらせてくれ」


 「あ、そういえばそうでしたね。 戦ったことがある相手が騎士団長と魔族だけとか、波乱万丈ですね……」


 言うな、それが異常な事ぐらい、百も承知だ。


 夏樹は1足で間合いを詰め、そのまま、剣でゴブリンの首を飛ばす。ゴブリン達が動揺しているのが感じられる。続け様に踏み込んだ足を軸にして身体を回旋させ、2匹のゴブリンの首を飛ばす。


 流石に3匹殺されれば正気に戻るようで、残りの2匹が襲いかかるが、振り向きざまの横薙ぎで胴体を真っ二つにし、最後の1匹が振り下ろす棍棒を半身になって避ける。脇を抜けるようにして首を薙いだ。


 「なんか呆気ないな……手応えがないというか」


 「じゃあ、レッドドラゴン行きます?」


 「行かねぇよ!」


 「ふふふ……冗談はさておき、当たり前でしょう。 最低ランクのゴブリンに対して勇者ですよ? 苦戦する方が問題です」


 まぁ、言われてみれば確かにそうだな。ゴブリンに苦戦してたら、魔王なんて勝てる未来見えないもんな。


 ズンッ!!

 ――! ――!


 大きな衝撃音と誰かの声がした。


 「今のは……エイン行くぞ」


 夏樹とエインは音と声がした方へと走り出す。

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