第13話 兄様の秘密


「さっきはごめんね、嫌な思いさせて……」


悲しそうに微笑みます。

やめてください!

兄様の方が辛いに決まっているのに……


「わたしはだいじょうぶです」


「強いね、ヴィアは」


そんなことないです。

案外タフには出来てるはずですけど、人のために悲しんだりなんでことは出来ないから。


「……あの人は僕の母様ではないんだ。義母だけど、最初は仲良くなれそうだと思っていた。だけど、あの人は僕のことを息子とは見てくれなくてね」


自分のことを話す兄は初めてです。

いつも私といる時は笑顔で受け答えしてくれるだけだったのに。

それはそれで嬉しいんですけど。

こういう所も見れたことが、嬉しいなんて……私は不謹慎ですよね。


「って、こんな話ヴィアは聞きたくないよね。ごめん、弱気になってる」


「そんなことないです!わたしはにいさまがだいすきです!だからちからになりたいとずっとおもっていました!」


「……こんな兄様でも?」


「あたりまえです!」


「ヴィア……」


嬉しそうに頬を緩ませます。

こんな幼い私でも兄様の力になれるのなら本望です。


「わたしにできることはないですか?」


「ヴィアは傍に居てくれるだけでいいんだよ。凄く心強い」


そばに居るだけでいいって……

何もしなくていいって暗に言っているようなものです。

~~もう!

なんて、嘘です。

優しいお兄様ならそう言うと思ってました。

私は私で出来ることをします。

・母様の情報を集めること

それからですね。

ふふふ、力が湧いてきました!

兄様のために頑張りますよー!






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