第10話 3歳の私

はい、私3歳を迎えました。

誕生日は少し波乱に満ちていましたが、気にしません!


─────

誕生日当日


「なんで父様がいるわけ?メアリ」


ピリピリとする兄様。

なんで今更……と呟いています。

私のためにいつも怒ってくれて嬉しいですよ!


「ただ行くとだけおっしゃっていて……

心境の変化かしら」


メアリが首を傾げています。

それもそうでしょう。

父様は私が一人の時にしか会いに来なかったですし。


「私が居ることが不満か?アル」


「いいえ、全く」


完璧な笑顔で答える兄様。

後ろに黒い靄が見えるのですが……


目の前にはケーキ。3歳になったからもう食べれますよね。キラキラと目を輝かせる。

聡い兄様はそれに気づく。


「ヴィア、みんなで分けて食べようね」


確かにホールケーキは大きすぎるよね。

みんなで食べた方が美味しさも倍だし!


「めありもいしょにたべましょ」


「私はいいのです。ただの乳母ですから」


「まあ、貴族と一緒に食べることは珍しいよね」


「しょうなの?」


えー、何それ。

別にいいじゃないですか。


「おねがい、にいさま」


「ヴィア……ヴィアもこういってることだし、メアリも一緒に食べよう」


「そうだな」


それに頷く父様。

やったー!!

みんなと食べれるなんて、嬉しいです!

いつも1人でだから。かなし……


こんな感じで私の誕生日会は終わりました。


──────


父様はこれを境に朝方や昼間にもよく来るようになりました。

兄様と同じく時間を縫ってきたのでしょう。


兄様と鉢合わせした時は大変ですけどね。

メアリはハラハラしてます。

当の私は気にしません。気にしないようにするのです。


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