第9話 私の父様

それから父様は毎日来るようになりました。

夜にですけど。

兄様も乳母も寝静まった頃にだから、2人っきりです。

父様が不器用な人だって分かってから、そんなに怖くなくなりました。


そう言えば、兄様は領主としては尊敬しているけれど、父親としては認めてないみたいです。

博愛主義に見えるのですけど、父様に対しては違うみたいですね。


「……」


無言で撫でられる。

ほわわんとした雰囲気になります。

喋らなくても、居心地は悪くない……です。


「とう、さま」


「ちゃんといえるんだな」


前はとうしゃまと言っていましたからね。

撫でられるの、案外悪くなかったので、そのお礼です。


「はい、いえましゅ。にいさま、とうさま」


「にいさまも言えるんだな……」


あれ、ちょっと兄様に嫉妬してる?

可愛いところもあるんですね!


私、ファザコンになってしまったみたいです。

兄様には負けますけどね!!

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