第8話 父様の変化
2歳の誕生日の夜の事です……
ひたひたと足音が。
メアリの足音ではないですね。
もしかして、幽霊!?
私の目の前で止まりました。
いやあああ!!
ちょっと待ってください。幽霊って足ありましたっけ?
「っう」
取り敢えず叫ぼうとすると、口を塞がれた。
赤ちゃんにこんな乱暴はダメなんですよ!
というか、く、苦しい。
死ぬ……
手がぱっと離された。
ぷはぁ、息が吸えた。
「静かにしろ、父だ。と言っても分からないか……」
薄暗い中で見えたのは兄様に似ているけれど、兄様とは違う鋭い顔だちの男の人。
兄様基準にしてしまうのです。
あっ、私の父様です。
厳格な雰囲気ですねー。
怖いです。
さっきは死ぬかと思いましたし。
「わかりゃました、とうしゃま」
2歳なので上手く喋れないことは許してくださいね。
「分かるのか!?やはりメアリの言っていたことは本当だったのだな……」
メアリ?
一応私の父ですし、報告するのは当たり前ですよね。
何を言っていたのかは気になるところですが……
「お前は赤ん坊のくせに賢いな」
赤ん坊のくせに、は余計です!
兄様と顔立ちは似ているのに、性格は全然似ていない!!
「……今まですまなかったな」
謝った!
全然顔を変えずにとは、ポーカーフェイスですね?
申し訳なさそうには見えません。
しかし、父様は不器用なりに伝えているのかもしれないです。
「いいのでしゅ」
だって、父様はそんな危害を加える人じゃなかったから。
さっきの口塞いだのは、わざとじゃないと思うし、多分不器用なだけだと思います。
だから、許しますよ。
と言っても恨んですらいなかったし。
父様に興味すらなかったですからねー。
兄様が好きすぎて、キャッ。
「………」
少しの間無言で見つめられた後、帰って行きました。
なんだったんですか。
ただ謝りたかっただけ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます