p.44 対決

 深い緑におおわれ、木々や草が生い茂った豊かな自然が織り成す世界に身を置くルーシャは冷や汗をかく。程よい風や気温で居心地が良いはずの森の中はピリついた空気で溢れていた。


 冷静なレティルトと、彼を睨みつけるリルトはつい先程から無言で睨み合っている。




 レティルトの言葉にリルトは眉間に皺を寄せ、明らかに怪訝そうな表情を浮かべる。その態度だけでレティルトの言った言葉がいかに彼にとって良くないことなのかがルーシャでも分かってしまう。




「レティルト王子ともあろうお方なら、俺がどういう契約に関わってるのか分かってんだろ?」




 不機嫌そうなリルトはレティルトを睨みつけながら口をひらく。




「ああ、分かってて言ってる。情報を教えてくれ」




 だが、レティルトも負けることなくリルトを見つめ返しながら要求を再度口にする。


 森を駆け巡る心地よい風を感じながらルーシャは黙って見守ることしか出来ない。レティルトのように知識や何らかの情報をもっている訳ではないし、交渉術に長けている訳でもない。




「俺の契約は俺と契約主のあいだに取り交わされるものだ。他人に情報を渡すわけにはいかない」




 頑ななリルトに対してレティルトも諦める気配はない。




「お前も分かってるんだろ、セルトが〈第二者〉としてはまだ仮誓約で、このままあいつが死ねば全てが終わるってこと」




「そういう危うさも含めて、ロナク=リアはファントムとイツカさんに選択を迫ったし、俺らはいつ途切れてもおかしくない糸を信じてきていた」




 何を言われても情報提供を拒否するリルトにレティルトは心の中で少し焦る。




「いまセルトが死ねば、お前はもうそこから開放されることもないんだぞ」




 呪文ノ書が魔力を対価に願いを叶えてくれる代物だと知る者に、リルトは呪文ノ書の精霊とも化身とも言われている。彼が何者なのか、誰かが創りあげた何かなのか知る人は限られている。


 レティルトはただの魔力協会の人間であり、権限などは一切ない。だが、リルトの存在も彼が何者なのかも知っている。それはルレクト家の人間であり、秘術とともに大切な役割を継ぐ一族の人間であるからだった。




 だから、彼が何に縛られていているのかも分かった上で情報の譲渡を頼み込んでいた。レティルト個人の人脈と努力で呪い主の居場所を突き止めることは、途方もない時間がかかってしまう。いまは一刻を争う。




「俺個人の我儘でどうこう出来るわけ・・・」




 真剣な眼差しのレティルトに対し、リルトは頑なに首を横に振る。レティルトの願いも思いも分かってはいるが、リルトを縛っているのは彼の契約がリルトと本人とのみの間で取り交わされるという制約だった。制約を破れば契約は無効となる。




「書の制約か・・・、さすがに魔力の本質を利用したその制約はオレも取り外せないな」




 揺らぐ瞳のリルトに希望を見いだしたレティルトだが、それでもリルトの思いだけでなんとも出来ないこともある。契約の無効化が起きて不都合は基本的にはないと言われ、リルトが契約主と契約できなくなり本来対価として得られる魔力が得られないだけだった。だが、今まで制約を破ったことがなく何が起きるかわからないというのが現状だった。




 そんな危ない橋をリルトもレティルも渡る気はなく、何か手立てはないかと思案を巡らす。そんななか、リルトはふと目の前にいるルーシャの姿を捉える。




「・・・いや、待て。あんたは確か〈青ノ第二者〉の弟子だったな」




 真っ直ぐとルーシャを見据え、リルトは声をかける。もはや蚊帳の外だったルーシャは突然の言葉に驚きながらも首を縦に降る。




「あ、はい」




「名前は?」




「ルーシャです」




 リルトは何かを考え込む。蚊帳の外だったルーシャは突然話を振られて戸惑う。半人前であるが故に話についていけないことが多い上、たまにナーダルやレティルトはルーシャの知らない領域の話をする。ルーシャの知るべきことではないからか、教えてくれることもなくたまにルーシャは取り残されてどうしたら良いのか分からないことがある。




「ルーシャが俺に情報の開示を求めろ」




 リルトが真っ直ぐにルーシャを見つめ、そう言う。聞き間違えかと思ったが、その黒い瞳は間違いなくルーシャに向けられている。




「どういうことだ?」




 リルトの突然の言葉に反応したのはレティルトだった。




「〈第三者〉はたぶん、ロナク=リアが施した封印術に関しては制約に縛られていない」




 何かの記憶を辿るよう、リルトは少し考え込みながら口を開いていた。その瞳はどこか不安げであり、その情報がいかに曖昧なものなのか、全く事情を知らないルーシャでさえ容易に想像ができてしまった。




「だが、〈第三者〉と認識されなければ・・・」




 リルトの言葉にレティルトはさらに不安なことを口にする。




「それは大丈夫だろ。最後の〈第二者〉が〈第三者〉を選び、その最後の〈第二者〉は必ず静神・ソートと誓約を交わす。そして、人との関わり・・・特に師弟関係は魔力の結びつきが強い。ルーシャのなかには既に〈青ノ第二者〉の魔力が強く結びついてるし、書の魔力が青き魔力を嗅ぎ分けるはずだ」




 リルトは不安げながらも、そう断言しルーシャを見つめる。
















 * * *












 闇夜に冷たく三日月が輝き、星が嫌なほど煌めく。静まり返った夜の中、レティルトとルーシャはひとつの邸宅の前にいた。古めかしいが重厚感があり、人を引き付けないその邸宅こそ、呪文ノ書のリルトが見つけ出した今回の事件の犯人の居場所だった。レティルトはルレクト本家の人間と会ったことはあるが、彼らがどこに住んでいるのかは一切知らない。素性を明かさず、常にその影をちらつかせるのが本家だった。




 レティルトは呼び鈴を鳴らすこともなく、邸宅の門を勝手に開けて敷地の中に入る。玄関にたどり着くまでには簡素ながらも庭があり、いくつかの植物が植えられている。特に手入れが施されている様子がなく、生活感を感じられない。




 黒く重苦しい玄関の扉は鍵がかかっておらず、すんなりと開く。その光景にルーシャもレティルトも息を呑む──明らかに罠だと。だが、躊躇う時間などふたりにはない。そのままレティルトは警戒したまま邸宅内に足を踏み入れ、続いてルーシャも中に入る。




 邸宅の中は明かりが灯されており、本家の人間の生活が垣間見得る。簡素ながらも趣ある調度品が配置されており、掃除も行き届いている。廊下の壁にはシンプルな絵画がいくつか飾られ、各部屋の扉にも絵画やドライフラワーなどがかけられている。




 いくつかの部屋を素通りしたレティルトはひとつの部屋の扉の前で立ち止まる。そこからは並々ならぬ魔力を感じ取ることができ、ルーシャは息を呑む。その魔力はナーダルの呪いから感じ取られらたものと同じで、圧倒的かつ荒々しさを秘めている。




 ちらっとレティルトは一瞬、ルーシャのほうを見る。ルーシャは無言で頷き、レティルトは躊躇うことなくその手で扉を開ける。




 そこは広いリビングのようだった。部屋の隅に暖炉や、カンターキッチンが見受けられるがそれよりも目に入るものがあった。部屋の中央には赤を基調とした重厚な絨毯が敷かれ、一人の女が優雅に椅子に座っていた。女から感じる魔力はルーシャが今まで感じてきた中で圧倒的に力強い。彼女から魔力を感じるが、それ以外のところからも凄まじい圧力の魔力を感じ、ルーシャは絨毯を見た。よく見れば絨毯の端から、床に描かれているのであろう陣が垣間見えた。




「やあ、ようこそ。レティルト元王子殿」




「出来れば、あんたに会いたくはなかった」




 相手をにらみつけながら言葉を発するレティルトの瞳はひどく冷たい。醸し出す雰囲気も全てを切り刻んでしまいそうなほどに殺気立ち、ルーシャは息をすることすら躊躇ってしまう。


 栗色の髪に眼力のある緑の瞳の女は、レティルトの殺気立った視線を堂々と受け止める。




「私も没落したルレクトの人間を目に入れたくもない」




「・・・っ!」




 何かを言いたくても言えない悔しさを押し殺し、レティルトの拳が強く握られるのをルーシャは見つめることしか出来ない。だが、レティルトはそれらを振り払い目の前の人物に瞳を向ける。




「あんたがオレたちに呪いを向けたんだろ、メイル・ブランジュ・ルレクト」




 悔しさを押し殺しながらレティルトは目の前の女に言葉を放つ。彼女こそが、現在のルレクト本家の当主であり、レティルトがかつて会ったことのある本家の人間だった。気品漂い、うかつには近寄り難い空気を醸し出すメイルをルーシャは直視することさえ難しく感じてしまう。




「いかにも。落ちたとはいえ、魔力大国の出自だな」




「御託はいい。セルトの呪い、解いてもらおうか」




 冷たく力強い瞳でメイルを睨みつけながら、レティルトは身につけていた剣の刀身を鞘から抜き彼女に突きつける。痺れるような緊張感が一気に部屋中に広がり、ルーシャは鳥肌をたてる。こうなることは分かっていたし、それを理解した上で同行していた。




「そう来ると思っていた」




 不吉な笑みを浮かべメイルはルーシャとレティルトを一瞥する。それは明らかに敵意のある瞳で、彼女は躊躇うことなく魔力で神語を構成し始める。そのスピードは圧倒的に早く、ものの数秒でレティルトとルーシャ目掛けて、鋭い針のようなものが飛んでくる。




 レティルトはルーシャを背後に庇い、一瞬で神語を構成し防御魔法を展開させる。二人を襲うはずだった針の群れは防御魔法に阻まれ、無残に地面に散り落ちた。




「あいつの意識を奪って一時的に魔力を封じる。そして、呪いの神語構造を破壊する、いいな?」




 簡潔にレティルトはそう目的を告げ、ルーシャは無言で首を縦にふる。メイルの足元にある絨毯の端から見える陣はおそらく、呪いの陣だろう。呪いを発動させ続けるには魔力の継続的な補給が必要となってくる。メイルはおそらく陣の中心に位置どっており、そこからナーダルにかけた呪いを継続させている。まずは彼女からの魔力の供給を止める、そして呪いの神語構造そのものを破壊することで呪いは完全に破壊することが出来るはず。




 レティルトはルーシャを置いて、一気にメイルとの距離を詰める。だが、メイルもそれは想定内であり瞬時にいくつもの攻撃魔法術を構成し、発動させる。レティルトはそれを避けたり、自身の剣に魔力を付加し魔法術そのものを薙ぎ払って応戦する。




 実戦慣れしていないルーシャは二人から少し距離をとり、タイミングを伺ってメイルの気をレティルトから逸らせるよう攻撃系統の魔法術を飛ばしたり、レティルトを襲う魔法術を相殺したりとサポートに徹した。




 元々ルーシャは魔力探知が得意なこともあり、メイルやレティルトが神語構造を作る過程で、それが知っている魔法術の構造ならば何の魔法術が展開されるか事前に分かるため対応することができた。だが、二人の神語を構造する速度が尋常ではないためついていくのに必死だった。






 ハッとルーシャはメイルの創り出す神語に冷や汗をかく。








永緑えいりょくノ庭 芥子ノ微睡まどろ悠湖ゆううみノ街


 春を運びし明快ノ綿毛 詠歌を紡ぎし叡智ノ蜂


 まどろみの中を一人で進み行きながらも


 どこかであなたを待ち続ける陽日ひび


 沈みゆく夕日を留めながら


 永久ノ航海へすすむ吾と 永久ノ生命を紡ぐあなた』








 メイルの口から紡がれるのは、哀属性の「消しノ園」という魔術だった。自分を中心に円形状に魔力を発し、その魔力はターゲットの魔力を全て消し去るまでその範囲を広げ続ける。魔法術師二人を相手にすることは玄人にしてみれば苦ではないが多少の面倒くささがある。相手の魔力を消しされば、命の根源たる魔力を失った相手の意識を奪うことが出来るため、メイルはこの魔術を発動させたのだった。




 とっさにルーシャは自分以外の魔力を全て拒絶する魔法「絶」を自分自身にかける。レティルトの方を見ると、彼もすでにルーシャと同じ対応をしていた。これでとりあえずの対応ができたと安堵したルーシャだが、メイルの魔力が広がっていく中に妙な違和感を覚える。




(・・・二重構造?!)




 魔力探知では見つけきれなかった別の魔法術が展開されていた。それが何なのかの分析も、咄嗟の防御魔法の展開も出来ないままルーシャは謎の魔法術に吹っ飛ばされる。部屋中の家具も衝撃波に飛ばされ、音を立てて壊れていく。おそらく物理攻撃系統の魔法術だったのだろうが、ルーシャは壁まで吹っ飛ばされて激しく体をぶつける。




 体のあちこちに擦り傷が目立ち、強く打った箇所に強い痛みを覚える。自分のいる場所がどこなのかも分からないほどの衝撃を受けた。




 レティルトはメイルの「消しノ園」の魔力が広がるさなかに、隠されていたもうひとつの神語構造に気づき咄嗟に追加の防御魔法で身を守りながら、メイルに攻め入っていた。瞬時にいくつかの攻撃魔法術をメイルにしかけ、彼女がそれを捌いている間に彼女の鳩尾みぞおちに剣の柄で打撃を与える。急所に一撃を受けたメイルはあっさりと気を失う。




 レティルトはそのまま躊躇いなくメイルの魔力を封じるための魔法を施し、呪いの陣を床ごと破壊する。










 こうして、呪い主・メイルとその呪いは撃破された。


 ルーシャは痛む体を起こし、身体を動かす。痛みはあるが動かない場所はなく、骨折などはしていないようだった。ほっと一息つき、いつものクセで首から下げている形見の指輪に触れようとした。




(あれ?ない?!)




 いつも肌身離さずもっていたのだが、衝撃波に吹っ飛ばされた時にペンダントのチェーンが切れたようだった。横目にレティルトを確認すると、彼はメイルの意識と魔力の確認、そして呪い構造の破壊を最終確認しているようだった。ルーシャは慌てて辺りを捜索する。






「・・・ん?」






 最終確認を終えてルーシャに声をかけ、この場を立ち去ろうとしたレティルトは、部屋の片隅に光る何かを見つける。ちぎれた鎖に通されているのは、家紋の入った指輪だった。先程の戦闘のさなかに誰かのものが落ちたのだろう。




(これ、どこかで・・・)




 指輪には鷹をモチーフにした家紋が描かれており、それはレティルトの記憶の中にもある。だが、第一王子として様々な国や一族と接してきたレティルトにとって、見覚えのある家紋などいくらでもある。




「あ、そんなところに!」




 まじまじと家紋を目にするレティルトのもとに駆け寄りルーシャが大きな声を上げる。捜し物が見つかりほっとひと安心する表情に、これがいかに大切なものだったのかレティルトは容易に想像がつく。




「ルーシャのか?」




「母の形見です」




 レティルトの言葉に頷くルーシャを一瞬見ながらレティルトは少し考える。




(ルーシャの母親か。この家紋なんか引っかかるんだよなー)




 ルーシャと形見の指輪を何度か交互に見ながらレティルトは考え込む。




「ルーシャの母親ってセルドルフ王国のひと?」




「多分そうですけど、母の両親のこととかは全然知らないんです。家出してきたってずっと言ってて」




「・・・個人的なことで悪いんだが、父親は?」




 踏み込んで聞くことでもないかと思いながらも、妙にこの鷹の家紋が引っかかって仕方がなかった。




「私の父は飲んべえの仕方ない人間だったから捨ててきてやったって、母は言ってましたけど。その辺も詳しくは・・・」




 ルーシャの言葉にレティルトは静かに考え込む。今までさして気に止めてもいなかったことが急に気になり始めた。




(アストルはアストルで色々あるが・・・。ルーシャ自身のことって誰も、本人さえも知らないんじゃないか?)




 悶々と考え混んでいたレティルトは口を開く。




「ちょっとだけ、この形見借りてていいか?」




 レティルトの言葉に頷きながらも、ルーシャはその指輪になんの意味があるのだろうかと疑問に思う。










 そうして引き上げようとした二人だが、ハッと後ろを振り返った。倒れたメイルから異様な魔力を感じったからだ。確かにさきほど、レティルトの一撃でメイルの意識を奪ったし、確認もした。




「なっ!」




 倒れ込んでいたメイルの姿が徐々に変化し、2人の目の前には十代前半と思しき少女が倒れていた。その姿はルレクト本家の当主では明らかに見えず、レティルトはハッとひとつのことに気づく。




「・・・やられた」




「え?」




「メイルのやつが幻術を仕掛けてやがった!」




「でも、幻術の神語構造は見られませんでしたよ?」




 レティルトの言葉にルーシャは焦りながらも、冷静に答える。レティルトが戦闘に集中しているさなか、ルーシャは応戦をしながらもメイルとは距離をとり入念な魔力探知をしていた。魔法術による罠はないかと、知識も技術も経験もない半人前の自分に出来ることを実践していた。




「探知無効だ。本家の人間なら、オレらと同じ封印系統の秘術は受け継いでる。うかつだった!」




「じゃあ、本人は・・・」




 焦りを露わにするレティルトはルーシャの手を取って、凄まじい勢いで神語を構造する。早急だというのに、その構造ひとつひとつに全くの狂いも間違いもない。




「セルトが危ないっ!」




 レティルトの創った空間移動でふたりはすぐにナーダルのもとへ向かうのだった。















──────────



呪い主の本家の家に行った。そして、そこで当主の女の人に会った。


正直、めちゃくちゃ怖かった。雰囲気が・・・。


いやもう、私がこんな場にいていいのかなって正直思った。


なんとかレティルトさんが呪いの構造を壊してくれたけど、先手を打たれてたみたい。マスターが危ないっ!




そして、レティルトさんが私のお母さんの形見に何故か興味津々だった。


なんかあるのかなー、お母さん何も言ってなかったし、聞いちゃいけないのかなって思ってたし・・・。

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