第33話 水泳②
「や 大和!手を放しちゃダメなんだからね」
「ここって普通に足着くし浮き輪もあるだろ?」
「で でも、大和とはぐれたら嫌だし・・・」
「お おぅそうか。そうだな。うん」
安全のために借りた浮き輪に捕まり僕が手を引く形で僕と春姫はプールに入っている。
さっき手を繋いだ時は春姫も恥ずかしそうにしてたのに今度は放しちゃダメか。
僕としては嬉しいけどもうちょっと素直だとなぁ~
「でも今日は結構暑いし、こうやってプール入ると気持ちいいね」
「うん。ちょっと人は多いけど気持ちいい。やっぱり来てよかったかも」
僕と春姫は浮き輪に捕まり流れに身を任せる形でプールを楽しんでいた。
この時期は別に泳がなくても水に入ってるだけでも気持ちいいよな。
ただ春姫の言う通り人は多い。
「きゃっ」
「おっと」
などと思っていると家族連れの浮き輪にぶつかり押される形で春姫が僕に抱き着いてきた。
「ご ごめん大和」
「お おぅ」
お互い抱きしめ合った形で見つめ合い一瞬固まる。
今日の春姫は露出が多いビキニ。
当然肌面積も多く、僕の肌と触れ合うのは・・・結構照れる・・・というか胸の感触が・・・
「あ~ お熱いところ悪いけど、僕らウォータースライダーに行くけど大和達どうする?」
「栗平さん意外とだ・い・た・ん」
「あ、僕たちも行くよ。な春姫」
「え?うん・・って や 山下さん、ち ちがうってその事故なのよ事故!って聞いてる?」
何だか良いところで邪魔された気もするけど、春姫も一杯一杯みたいだし、僕らは有坂達と流れるプールの隣にあるウォータースライダー用のプールに向かった。人気施設ということもありスタート地点までの階段は結構な行列が出来ている。
「やっぱり混んでるんだな」
「まぁ今日は天気も良いしプール日和だからね」
「それはそうと、この間ね♪」
僕らは並びながらお互いの学校の話や部活の話で盛り上がった。
栗田や鮎川、大室の活躍で有坂達のクラスがスポーツ大会でバスケ部門の学年優勝したことや春姫が企画して、船橋さんの誕生日を下北さんや和泉さんと一緒にお祝いしたことなど。
本当、皆楽しい学園生活を送っているようだ。
それに僕としては春姫が楽しく高校生活を送れているということが何より嬉しい。
ちなみに最近は春姫に告白してくる人も結構いるらしいけど、春姫曰く彼氏が居ると全て断っているとのこと。
その彼氏が僕だと思うとちょっと嬉しかったりもする。
まぁそんな感じでおしゃべりをしていると時間が経つのは早く、あっという間に僕たちの番がまわってきた。
「え~と カップルさん2組ですね。2組とも2人乗りでよろしいですか?」
「いいだろ大和?」
「あぁ」
まずは流れてきた2人乗りの浮き輪に有坂達が乗り込む。
「じゃ先に行かせてもらうね」
「いってきま~す♪」
と係員さんに押し出された浮き輪は急加速してスライダーを下って行った。
結構なスピードだ。
「春姫大丈夫そうか?」
「う うん。多分・・・大丈夫」
あんまり大丈夫じゃなさそうな不安そうな声。
相変わらず強がりなんだな。
有坂達がスタートした後、流れてきた浮き輪に僕たちも乗り込んだ。
有坂達と同様に春姫を前に僕が後ろに座る形だ。
「じゃあ行きますよ!」
係員さんが僕と春姫が乗った浮き輪を押すとゆっくり動き出した。
僕は浮き輪が傾斜に入りスピードが出始めたところで春姫を後ろからそっと抱きしめた。
「ふぇ?やまと?なに?どうしたの?」
「大丈夫。安心して僕がついてるから」
「・・・うん。大和が居るんだもんねって・・・わわわわ~ きゃあ~」
「うぉ!」
ちょっといい雰囲気になったけど浮き輪はそのまま斜面を急速度で滑り始めた。
急カーブの連続で浮き輪が右に左に傾いたと思えばストレートの斜面で急降下。
そして、スライダー下のプールに着水。
時間にしてみれば1分あるかないか位の短時間だけど中々の迫力だった。
人気があるのも良くわかる。
「春姫大丈夫だった?」
「・・・楽しい」
「へ?」
「大和!これ凄く楽しい。ねぇねぇもう一回やろ!」
「お おぅ」
さっきまで怖そうにしてたのに・・・そういえばジェットコースターとかは大好きだったよな。まぁ春姫が楽しかったならいいけど。
プールサイドに上がると先に滑っていた有坂達が手を振っている。
「どうだった?」
「思った以上に楽しかったよ。春姫も喜んでたし」
「そっか。楽しんでくれたみたいで良かったよ。誘った甲斐があったってもんだな。ところで僕たちは少し向こうで休憩するけど2人はどうする?」
「そうだね少し僕らも休むかな。いいよな春姫?」
「うん!」
プールを離れサマーベッドとパラソルが並ぶ休憩スペースへ。
僕と春姫は有坂と山下さん達と別れ空いているパラソルを探しベッドに横たわった。午前中部活だったから疲れていたこともあるけどサマーベッド横になると気持ち良くて眠くなってしまう。
それにしても自宅からそんなに遠くに来てるわけでもないのにこうしてると何だかちょっとリゾートにでも来た気分だな。
ここなら近いし春姫とまた来ても良いかな。
でも・・・こういう近場のデートも悪くないけど、折角恋人同士になれたんだし夏休みの間に春姫と何処か遠くに旅行とかも行きたいよなぁ。
「なぁ春姫」
「な~にぃ?」
少し眠たげな声で春姫が返事をしてきた(春姫も疲れて眠いのかな?)
「何処か行きたいところとかある?」
「どうしたの急に行きたいところって?」
「春姫と夏休みの間旅行とか行きたいなぁって」
「・・・へ?そ それってもしかして泊りで?」
「うん。そのつもりだけど・・・嫌か?」
「い 嫌なわけないでしょ・・・その・・・嬉しいし」
「じゃ決まりだな。今度一緒に行くところとか考えよ」
「うん♪」
考えてみると僕も春姫も両親が仕事人間だったからあんまり旅行とか行ったこと無いんだよな。何だか今から楽しみだ。
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