第32話 水泳①
夏休みのとある土曜日。
午前中部活で汗を流した後、僕は川野辺駅に来ていた。
部活は相変わらず先輩達からの厳しい特訓が続いている。
正直なところ疲労感が半端ないんだけど・・・今日の用事は外せない!
今日はこの後、有坂と山下さん、そして春姫とプールに行くんだ。
小さい頃は親に連れられて行ったことはあったけど、学校のプール以外は本当久しぶりだ。ましてや春姫となんて何年ぶりだ?・・・どうしよう緊張してきた。
「よぉ早いな大和」
「こんにちわ鶴間君」
「やぁ今日はよろしくね」
有坂と山下さんだ。
家の方向バラバラのはずだけど一緒にきたのか。
本当こいつら仲いいな。
「栗平はまだか?」
「あぁさっき家を出るって連絡あったからそろそろ来るんじゃないかな」
「そっか。で・・・どうだったんだ?」
「どうって何が?」
「み・ず・ぎだよ水着。一緒に買いに行ったんだろ?」
「え、あ あぁ・・・この間買いに行ったよ」
「そうじゃなくてさ、栗平の水着姿どうだった?」
「・・・すごく可愛くて綺麗だった」
「よりゃ良かった。ちゃんと栗平には言葉にして褒めてあげたか?」
「あぁもちろん」
「ふふ大和も言う時は言うよな。栗平の水着姿か僕もちょっと楽しみだな」
「もぅ忍君!」
「はは 大丈夫だよ僕の一番は若菜だから♪」
「そ それはわかってるけどさぁ~」
何やらイチャイチャしだす有坂と山下さん。
・・・これが世に言う"バカップル"ってやつなんだろうか。
うん。僕は春姫とこんな風にならないように注意しないとな。
などと有坂達を見て思っていると春姫が僕たちの方に走ってきた。
「お待たせ!ごめんなさい待たせちゃったみたいね」
「よぉ栗平。大丈夫だよ。まだ集合時間前だし。僕らが早く着いただけだ」
「気にしなくて大丈夫だよ。あ、荷物は僕が持つよ」
と僕は春姫が持っていた大き目のバックを持ってあげた。
「ありがとう大和」
「優しいねぇ鶴間君。これは栗平さんも幸せだぁ~」
「う うん」
少し照れ笑いしながらも肯定する春姫。
そういう事あらたまって言われると照れるよ。
「ほら大和たちもイチャついてないで、そろそろ行くぞ」
「有坂に言われたくないし・・・」
僕らは駅前からリバーランド方面に向かうバスに乗り市民プールへと向かった。
今日は結構暑いのでバスの中のエアコンが心地よい。
プール最寄りのバス停までは川野辺駅から十数分。
皆で雑談しているとあっという間に到着した。
電車だと駅から少し歩くんだけどバスだと入り口前に着くの暑いこの時期には凄く助かる。
「結構混んでるな」
「まぁ今日暑いしね」
プールのチケット売り場は人で賑わっている。
僕らはチケットを持ってるからそのまま入れるけど暑い中並ぶのは大変そうだ。
「じゃ着替えたらプール入り口で待ち合わせな」
「うん。行こ栗平さん」
春姫と山下さんは女子更衣室の方へと向かっていった。
春姫も山下さんとはすっかり仲良くなったよな。
「僕たちも行こうぜ」
「あぁ」
僕は有坂と男子更衣室へ。
更衣室も結構な混雑ぶりだ。
空いているロッカーを見つけ水着に着替えていると有坂が話しかけてきた。
「大和ってさぁ」
「ん?」
「いや・・・結構筋肉凄いな」
「そうか?最近筋トレとか結構してるからかもしれないな」
「あぁちょっと男として羨ましいわ」
いや・・そんなジロジロ見るなって・・・・
そんな視線を感じながら着替えて待ち合わせ場所へと向かった。
当然の如く混雑している。
春姫たちと上手く合流できるか不安に思っていると
「おまたせ~」
と手を振りながらパーカーを着た山下さんが走ってきた。
「走ると危ないぞ」
「へへ どうかな?」
パーカーの前をはだけるとローズピンク系の大胆なビキニ。
「うん。いいね若菜やっぱりその色似合うよ♪」
「ありがとう。忍君が選んでくれたんだもんね」
山下さん大人しそうな雰囲気だったけど結構水着大胆だな・・・っていうか有坂の趣味か?と2人を眺めていると
「や 大和・・・お待たせ」
とこちらもパーカーを着た春姫が僕のところやってきた。
「あ あの・・・似合うかな?」
「あ、春姫・・・その水着って」
山下さん同様にパーカーを少しはだけて春姫は僕に水着姿を見せてくれた。
それは一緒に選んだワンピースタイプの水着ではなく最初に春姫が見せてくれた黒いビキニタイプの水着だった。
「大和を驚かせようかと思って・・・こっちも買ってたんだ・・・どうかな?」
「は 鼻血がでそ・・・」
「え?」
「あ、な 何でもない・・・凄く似合ってるし・・・その凄く綺麗だよ」
「ほんと!よかった~」
"似合ってて綺麗"と言ったためか春姫も喜んでいる。
でも想像以上だよ春姫・・・思った以上スタイルが良くて胸大きいし・・・僕には刺激が強すぎるかも。
「じゃ行こうぜ!」
「うん!」
有坂は山下さんの手を引いてプールの方へと向かっていった。
「僕らも行こうか」
「うん。あっ」
・・・僕も春姫の手をそっと握り有坂達についていく。
春姫を見ると少し恥ずかしそうに下を向いてる。
こうやって人前で手を繋ぐのも何だか照れるよな。
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