第24話 会合

春姫と付き合う様になって1週間が過ぎた。元々幼馴染という間柄で家族の様な付き合いをしていたこともあるけど正直なところあんまり関係性が変わった気はしない。


朝一緒に学校に行って、親の帰りが遅い日は一緒に夕飯を食べて、休みの日は一緒にテニスをしたり買い物に行ったり、会えなければメールしたり・・・


何だかよくよく考えると普通の恋人同士がするようなことを昔からやってきてたんだよな僕達って。

・・・そういう意味で恋人らしい事と言うと、告白した後に勢いでキスはしたけど・・・その後はなんというかそういった雰囲気にはなってないんだよな。

でも男として何かした方がいいんだろうか・・・


ちなみにうちの親に『春姫と付き合うことになった』って言ったら『え!あんた達付き合ってなかったの?』ってむしろ驚かれた。

うちも春姫のところも親は放任主義だからということもあるけど・・・

僕達の関係が悪くなってた時も全然気が付いてる雰囲気なかったし・・・研究第一で僕達には興味ないのかもしれないな。


まぁ僕たちは僕たちのペースでいけばいいのか。

と考え事をしていると春姫に呼ばれた。


「大和。この問題はこの解き方でいいの?」

「ん?あ、そうだね大丈夫だよ。春姫は覚えるの早いな」

「へへ いつまでも大和に頼ってばかりいられないし私も頑張ってるんだよ」


今日は期末試験が来週ということもあり勉強会をしている。

春姫も高校に入ってから成績は落ちていたけど、勉強会を始めてからは成績も上がっているようだ。

一緒に勉強をしている以外でもちゃんと自宅でも予習・復習はしているらしいし、元々の頭は良いんだからコツさえつかめば川野辺でも上位の成績になれるんじゃないかな。


「ねぇねぇ大和君。ここの問題の解き方なんだけど」

「えぇとね。これは・・・」


和泉さんも相変わらず勉強会には参加している。

和泉さん曰く"彼女になるのは諦めたけど友達なのだから勉強会には出てもいいでしょ?"ということだった。

僕は特に構わないし春姫も和泉さんとは仲良くしている様なので気にしていない。というよりむしろ歓迎ムードなので良いのだけど・・・・


「おぅ大和、この英訳なんだけどさ」

「鶴間君 ごめんね。この問題わかるかな?」

「大和さん ここの問題なんですけど」

「大和~ なんか楽していい点とる方法ないかなぁ」

「鶴間・・・お前なんでこんなに女子にモテるんだよ!」


今日は何故か有坂とその彼女の山下さん、それに船橋さんと下北さん、そしてたまたま帰りが一緒だった秦野の5人も勉強会に参加していた。

僕と春姫と和泉さんをいれると8人。

リビングのソファとダイニングテーブルを使ってギリギリ座れる人数だ。

というかこんなに集まるんなら図書館とかファミレスにしようよ・・・


「あぁ・・・ちょっと待って順番に・・・」

「「は~い」」

「というかさ、有坂達は僕じゃなくても勉強教えてくれそうな人が他にいるだろうに・・・テニス部の渋川先輩とか成績良いんだろ?」

「無茶言うなよ!渋川先輩に教えてもらうなんて恐れ多い!!

 あの人って学内でもトップクラスの人気と成績なんだぜ。それに結城先輩と付き合ってるみたいだし余計に近づきずらいよ。

 それに・・・他にも居なくはないんだけど、大和って教え方上手いからさ」

「そうそう。それに春姫たちも教えてもらってるって聞いてたしね。何だかこのメンバで集まるのも楽しいかなって」


まぁ確かにそうかもしれないけどさ。

教える側は結構大変なんだぞ・・・

などと思っていたけど、この日は人数も多いということで春姫や和泉さんも教える側にまわり僕をサポートしてくれたのでそれ程大変でもなかった。

2人共他のメンバーよりは成績上位だしね。

それに秦野に関しては教えなくても結構問題も出来ていた(頭いいんだな秦野って)秦野の場合は、どちらかというと川野中でテニス部の部長だった有坂と話がしたかったらしい。

そんなこんなで2時間少々勉強し、今日の勉強会は終了となった。


「助かったぜ大和」

「色々ありがとうございました鶴間さん」


と有坂と山下さん。

2人でも勉強会とかやってるらしいけど本当仲が良さそうだよな。

僕が見るといつも手を繋いでイチャついてるし。

でもまぁ今日は2人共真剣に勉強してたな。


「そのセリフは試験を無事クリアしてからだぞ」

「確かにな。試験の成績悪いと補習に出なきゃならないし今回は何としてもいい点とらないと・・・部活もあるし若菜との夏休みも楽しみだからな♪」

「そうだよね。2人で過ごす初のなる休みだもんね!」

「楽しい夏休みの為にも頑張れよ!」


「あれあれあれ~春姫ちゃんはまだ帰らないのかなぁ~?」

「途中まで一緒に帰ろうと思ってたんだけど・・・」


と下北さんと船橋さん。

あっやっぱり下北さん達は気が付いちゃった?

確かに春姫だけ荷物とか持ってないもんね・・


「あ、私は・・・その・・・大和の夕飯作ってから帰るから」


と有坂と秦野。下北さんに船橋さんが僕を見た。


「ほほう・・・栗平に夕飯作ってもらってるんだ大和は」

「ずるいぞ鶴間!こんな可愛い子に!」

「やるじゃん大和!それに春姫も良かったね♪」

「正式に付き合い始めたとは聞いてたけど・・・」


と口々に僕と春姫をからかいだした。

山下さんと和泉さんも"あんまり虐めたら可愛そうですよ~"とか言いながらニヤニヤしながら有坂達を止めないし・・・

まぁ最後は"良かったな大和"と有坂が締めてくれて解散になったけど、秦野は絶対明日学校で話題にするな(勘弁してくれ・・・)



「みんな帰っちゃったね。色々とお疲れ様」

「ああ春姫もありがとな。今日は教師役までしてくれて」

「うん。でも・・その・・私の分の勉強があんまりできなかったからさ・・・今週末とかテニスクラブ行ったあと少し教えてくれないかな・・・その2人きりで」

「え?あ、もちろん!2人きりだね。うん大丈夫だよ!」

「あ ありがとう!楽しみにしてるね」

「あ あぁ」

「じゃご飯ちゃちゃっと作っちゃうからちょっと待っててね!」


と春姫はキッチンの方へ行ってしまった。

今までも2人きりでってことは結構あったけど、あらためて言われると・・・何だか緊張するな。大丈夫か僕。


ちなみにこの日の夕飯はロールキャベツでした。

相変わらず春姫の料理は美味しい。

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