第7話 試合
川野辺高校か・・・
もしかしたら僕はここの生徒になっていたかもしれないんだよな。
春姫と別の道に進むことを決めてからは倉北に標準をあわせて過去問とか勉強してきたけど、最初の内は川野辺高校を受験するための勉強もしてたし。
などと思いながら、仲間たちとアップをしていると
「大和?」
「よぉ有坂!今日はよろしくな!」
川野中時代のテニス部仲間であり友人の有坂が話しかけてきた。
「よろしくなって・・・そのカッコ、倉北のテニス部のユニフォームだよな。
お前テニス辞めたとか言ってなかったか?」
「う~ん。何というか 辞めてたんだけど部長に誘われて、いつのまにやらテニス部に入ることになり・・・」
「何だそりゃ。
まぁ僕としては大和がテニスやるの賛成だからテニス部入るのは大歓迎だけどな。上手いのにこのままテニスを辞めるのはもったいないよ」
「上手いって僕が?」(今まで言ってくれたことないじゃん)
「ん?あぁ上手いと思うぞ僕は(今更何言ってんだ大和は)大体、上手くもない奴を代表選に出場とかさせないだろ」
「え・・・・そうだな言われてみれば確かに」
春姫からヘタクソって散々言われてたから考えたことなかったけど、言われてみれば確かに県大会は部からシングルス代表の1人として出てたんだよな。
だとすると・・・俺って本当にうまかったのか?
「鶴間。その人って川野辺のテニス部だよな?知り合いか?」
「あぁ。川野中の時の同級生だよ。有坂っていうんだ」
「ども有坂です。大和が世話になってるみたいで。え~と・・」
「あ、俺は藤沢って言います。川北中出身です」
「藤沢ね。よろしく!」
ということで部長たちが打合せをしている間、僕は有坂達に倉北のテニス部メンバを紹介したりして交流していた。
すると少し遅れて練習に参加したガタイのいい男が会話に参加してきた。
「何だ藤沢じゃん。お前倉北だったのか。それに大野、町田、永山もいるのか。ってことは今日の試合の相手はお前らか。
ふっこんなんじゃ川野辺の圧勝だな」
「ご 豪徳寺。。。」
「そっか豪徳寺も川北だったもんな、藤沢とは部活仲間だったのか」
「仲間?ふん有坂。こんなヘタクソと同列に扱うなよ。他の奴らもだがみんな雑魚だ」
「おぃ 豪徳寺ちょっとその言い方は失礼だぞ」
「うるせいぞ有坂。いい子ぶってんじゃねえよ。こいつらならストレートで余裕で勝てるさ」
なんだこいつ。
藤沢たちとは川北のテニス部で一緒だったみたいだけど凄く感じ悪いな。
と、少しイライラしながら話を聞いていると
「ほぉ~うちの1年にストレート勝ちか。
随分と舐められたもんだな。鶴間お前こいつの相手してやれ」
「阿部部長。って先輩じゃなくて僕が対戦するんですか?」
「あぁ当然だろ今日は新人メインの親睦試合だぞ。大丈夫お前ならこんな"雑魚"余裕だ」
「ざ 雑魚だと、この俺の事を・・・面白い。そいつ潰してやるよ!」
何だか阿部部長が豪徳寺の事を煽ってるけど・・・対戦者僕なのに・・・
そんないざこざがあったけど、お互いの自己紹介と合同練習の後、新人による親睦試合は予定通り開始された。
試合は1セットマッチで倉北の1年の人数に合わせて8試合が行われた。
初戦は川野辺の有坂と倉北の秦野。
川南中出身の秦野はテニス経験者だったけど、川野中でテニス部部長を務め県大会出場経験もある有坂には歯が立たず善戦したけど敗退。
コート脇では可愛らしい女性が有坂を一生懸命に応援してたけどあの子が有坂の彼女なのかな?
だとすると・・・・普通に可愛いし何だか羨ましい。
その後、藤沢と町田それに大野が何とか接戦ながらも勝ったけど3勝3敗で五分の状態。
そして、行われたのは僕と豪徳寺の最終戦。
「宣言通りにストレートで叩き潰してやるよ」
「お お手柔らかに・・・・」
相変わらず強気だな。
先行のサーブは豪徳寺だ。僕らはそれぞれのコートに移動しゲームスタートを待った。何だかこういう緊張感って久しぶりだ。
と審判の合図とともに豪徳寺が強烈なサーブを放った。
「返せるもんなら返してみろ!」
「はいよ!」
「へ?」
ボールは豪徳寺の横をすり抜ける様にバウンドしベースラインを越えていった。
豪徳寺は川北中ではそれなりに有名な選手だったみたいだけど、部長が言ってた通り県大会で僕が対戦した相手に比べると全然だ。
その後はある意味一方的な試合になった。
僕の打つサーブは確実にポイントを稼ぎ、豪徳寺のサービスはリターンで返し結局僕のストレート勝ち。
豪徳寺のやつ偉そうなこと言ってただけに少し涙ぐんでたな。
ま、藤沢たちをバカにした罰だな。
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<栗平 春姫視点>
「カッコいい・・・・」
ち違う私があいつの事をカッコいいとか・・・絶対ない!
でも、久しぶりにテニスしてるところを見たけど1年生ながらレギュラー候補にもなっている豪徳寺に勝っちゃうなんて意外とやるじゃない。
ま おめでとうの一言位は言ってあげようかしら。
他の部員から離れたところで試合観戦していた私は、倉北のチームメイトのところに戻ろうとしている大和の方に向かって歩いていった。
が、近づこうとしていると私を追い越して大和に近づく女が居た。
「つ 鶴間君! おめでとうございます!それにカッコ良かったです!」
「え?和泉さん?」
「わ 私の事覚えててくれたんですか?」
「あぁ中二の時に図書委員一緒にやったよね。和泉さん川野辺高校だったんだ」
「はい!運動は苦手なのでテニス部ではないんですが、たまたま用事だがあって学校に来たら鶴間君が居るのに気が付いて試合見に来たんです」
「そっか応援ありがとうな!」
な 何よあの娘!私を差し置いて大和の"おめでとう"だなんて!
お陰で私が出ていくタイミング逃しちゃったじゃない。
それに何であの娘、あんなに大和と親し気に話してるの?大和に女子の友達何て居ないはず。何でなのよ!
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