第6話 部活
阿部部長に誘われ、いつのまにやら入部してしまったテニス部。
不安だ・・・・随分褒めてくれてたけど正直自分の腕に自信はない。
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翌日の放課後、僕は不安を抱きつつも指定されたテニス部の部室にやってきた。
とりあえず中学時代に使っていたラケットやジャージは持ってきたし、これで練習には参加出来るはずだ。
でも、またラケットを使うことになるとは思ってなかったな。
少し緊張しながら部室のドアをノックしようとしたところ、
「あれ?鶴間じゃないか?」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「藤崎先輩?」
「おお そうだ藤崎だが何故に疑問形?」
コンピュータ部の部長である藤崎先輩。入部してからまだ1か月程度だけど、プログラムのアドバイスを貰ったし、高校の授業や郊外活動などについても色々教えてくれた尊敬する先輩なんだけど・・・
何というか、コンピュータ部に居るときと雰囲気が違う。
いつもは校則通りのきっちとした詰襟の学ランを着てメガネ姿なのに、今は学ランを気崩して、コンタクトなのかメガネもしていない。
髪も少し無造作な感じにセットして、何というか・・・ちょい悪な感じだ。
このカッコなら陽キャな阿部先輩と並んで歩いえても違和感はない。
「・・・・今日からテニス部にも入るので」
「そっか兼部するとか直人が言ってたよな」
(直人?あ、阿部先輩か)
「はい。今日部室に来るように言われまして・・・・あの」
「ん?あぁ俺のカッコか?変か?」
「い いえ。むしろカッコイイと思います」
「おう ありがとな。どっちかというとこっちの方が素なのかもな」
「じゃぁコンピュータ部では何で?」
「う~ん 俺ってカッコから入る方なんだよな。コンピュータ部のアレは俺のコンピュータ部に対するイメージだな」
カッコからですか・・・・
まぁそれはそれで大事なのかもなしれないけど、テニスとかのスポーツはまぁわかる。でもパソコン弄るのにカッコから入る必要あるのか?
「それより早く着替えてコート行くぞ」
「は はい」
藤崎先輩に追い立てられるように部室に入り着替えを行った僕は、先輩と一緒に急いでコートに向かった。
コートでは、既にほかの部員が柔軟やストレッチを行っており、その中に居た阿部部長が声を掛けてきてくれた。
「おぅ来たか!」
「はい よろしくお願いします」
「みんな!今日から入部の鶴間だ。受験とかで体は鈍ってるかもしれないが、中学でテニス部だった経験者だ。みんな仲良くやってくれ!」
「「はい!」」
部員たちに紹介された僕は、早速新入部員の1年生たちに混ざって柔軟を始めた。
と近くに居た活発そうな部員が話しかけてきた。
「俺はC組の藤沢 善行だ。よろしくな鶴間」
「こちらこそよろしく!」
藤沢が僕に話しかけてくると、それにつられて他の1年生たちも僕に声を掛けてきてくれた。大野、町田、北見、永山、上原、秦野。
皆話しやすくて気のいい奴ばかりで、僕もすぐに馴染むことが出来た。
お陰で、その後の練習も久しぶりのラケットの感触を楽しむように楽しく行うことが出来た。
何だろう中学の部活は僕の周りには春姫だけしか居なくて1人孤立しているような感覚で活動していた。テニスも楽しいっていうより春姫にやらされているって感じだったし、試合に勝っても褒められることもなく、ちっとも楽しくなかったんだよな。
でも今は・・・・ボールを打つのが楽しく感じられる。
何だかいいなこういうのも。
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<川野辺高校 テニス部 -栗平 春姫視点->
「ちょっと週末の親睦試合について話すから集まってくれ!」
男子テニス部の部長 二階堂先輩だ。
テニスも上手で成績も進学校の川野辺で上位と中々ハイスペックな人だ。
でもちょっと私の好みの顔ではないのよね。
ちなみにテニス部はカッコいい先輩が多いけど、一番人気は2年の結城先輩。
勉強は今一つらしいけど、テニスも上手くて見た目もカッコいい!
とにかく今年の1年女子からは大人気だ。
ただ、残念な点といえば女子テニス部の渋川先輩と噂があること。付き合ってるかは不明だけど、何となく二人でいるといい感じの雰囲気なのよね。
私の彼氏候補にでもと思ってたけど、渋川先輩って凄く美人さんだし優しいお姉さまって感じで、こんな私にも良くしてくれる。
テニスも上手だし、おまけにお金持ちのお嬢様だって話だし・・・
まぁ悔しいけど負けを認めるしかないわね・・・・
と色々と考え事をしていると先輩が親睦試合について説明を始めた。
「まず、今回の相手は、倉北学園の男子テニス部だ。
あそこは男子校だから女子の試合は無い。申し訳ないが今回は応援ということで参加してくれると嬉しいが、強制ではないので女子は自由参加で構わない」
倉北学園?それって大和が通ってる高校じゃない。
あいつがテニスを続けてるかはわからないけど何か情報がつかめるかも!
それにもしテニス部に入ってるなら・・・あいつに会えるかもしれない。
親睦試合とか正直休むつもりだったけど応援に行ってやろうじゃない。
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