第3話 苛立
<栗平 春姫 視点>
大和が私に逆らって私と違う高校へ行くことになった。
あいつ倉北学園に行くとか何にも言ってなかったじゃない。
本当ムカつく。
受験前にちょっと怒らせちゃったかもしれないけど、あの程度のことで本気で怒ってないよね。きっと・・・・
それに受験の願書を出したのはもっと前のはずだから計画的だったのよね。
なんで、私の言うこと聞かなかったのよ。
いつも私の言うことならなんでも聞いてくれたのに。
だいたい、あいつは友達も居ない陰キャだし、私が居なければ何にもできないにきまってる。それなのにに一人で別の高校に行くなんて・・・・
それに今朝だって態々遠回りして大和の家の方まで行って"一緒に駅まで行ってあげる"って言ったのに断ってくるし。
私の制服姿見て"似合ってるな"って言ってくれたのはまぁ及第点あげてもいいけど"僕に関わるなって"って・・・・何なのよ。
大和のくせに生意気よ!あんたは私の隣に居なきゃダメなのよ!
朝からイラっとすることはあったけど今から始業式だ。
何事も始めが肝心。
ここでもまた私が1番になってやる。
ふん。大和なんかよりカッコイイ彼氏くらい直ぐ作ってやるんだから!
後で悔しがっても知らないからね。
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始業式が終わり、私も割り当てられたクラスに移動した。
私は1年B組。
クラス担任となった重森先生の話の後は、自己紹介の時間だ。
「川野中から来た栗平 春姫です。中学の時はテニス部に所属してました。高校でも続けるつもりですが、スポーツ全般得意なので今度のスポーツ大会でも頑張るからよろしくね!」
私の自己紹介が終わると、男子たちから"かわいいな"とか"告白しちゃおうかな"とかいった話声が聞こえる。ふん。チョロいもんね。
川野中からは、同じクラスで良く遊んでいたイケメン陽キャの有坂 忍とお嬢様系の船橋 千歳、それからギャル系の下北 佐和、それに話はしたこと無いけど地味目な生田さんと和泉さんって女子2人。後は確か隣のクラスに居た渋沢君って男子。それにバスケ部にいた栗田、鮎川、大室の3人。見た感じこのクラスは川北中から来た人が多いみたい。
でも、まぁこのクラスの中なら私が一番かわいいかな。
ホームルームが終わると今日は解散なわけだけど、皆教室に残り色々と雑談を始めていた。中には早速連絡先の交換をしている者もいる。
中でもコミュ力が高い有坂は早速、川北から来た生徒たちの輪に入り何やら話を始めていた。
多分あのグループに居る"ちょっとだけ可愛い"感じの女-確か山下さんだったかな?-が目当てね。
あとは人の良さそうな男の子-こっちは恩田君だったかな?-。あの子は有坂とは話合うのかしら?
ま、私には関係ないか。あいつ大和と仲が良いしちょっと苦手なのよね。
などと思いながら、私はいつもの様に佐和と千歳とたわいもない雑談をしていた。
「にしても大和の奴、倉北に行くとか酷いよね」
「本当よ。私の下僕の分際で逆らうなんて」
「そうですよね。春姫に逆らうなんて。確か幼馴染でしたよね。今まで春姫のおかげで私たちのグループに居れたっていうのに」
「本当よ。あいつは私が居なくちゃ何もできない男だからね。
きっと倉北に行って困ってるはずよ。すぐ泣き付いてくるわよ」
「・・・ですね。でもそうしたらどうするんすか?許してやるの?」
「・・・そ そうね。私は心が広いから、土下座でもして"春姫様の下僕に戻してください"とでも言ってきたら許さないこともないかなぁ」
「・・・流石、春姫!優しいね」
などと話をしていると、クラスの男女数人が私たちに話しかけてきた。
「栗平さん 下北さん、船橋さん。あの良かったら私達と連絡先の交換してくれませんか?」
「ええ!喜んで」
と優しく微笑むと私の周りに居た生徒たちから歓声があがった。
このクラスでも私の人気は変わらないわね。
正直この時は、高校といってもチョロいわねと思っていた・・・・
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それから数週間後。
・・・こんな事って。
入学後初めて行われた全国模試。学内はもとより全国での順位が出るテストだ。
中学の頃は学内でいつも10位以内の成績を取っていた。
でも今回は半分より少し上な程度の成績・・・・正直ショックだった。
「あぁもう全然ダメ。下から数えた方が早いかも。やっぱり進学校だけあって頭がいい人多いっすね。私は受かったこと自体が奇跡だったからなぁ」
「私も駄目でしたわ。本当ショックです。春姫さんは成績どうでした?」
「えっ?うん。まぁまぁかな・・・・」
「ふ~ん・・・そうですか春姫さんは相変わらず成績よろしいのですね」
「頭いい人はいいよなぁ」
「た たまたまよ・・・・」
と下北さんと船橋さん。2人とも中学では私ほどではないけどそれなりに良い成績を取っていた。
2人も成績落ちたんだ・・・でも、何だか言い方に棘があるわね。なんだって言うのよ。
だけど、いつもと何が違かったって言うの?
普通に授業は受けてたし、勉強をさぼっていたわけではないはず。
違うと言えば今回は試験前に勉強会をやって無いくらいだけど、あれは"私が大和に教えてた"わけだし関係ないはずよね。
あれ、でも千歳や佐和には大和が教えてあげてたんだっけ?
なんにしても、こんな成績じゃ私のプライドが許さないわ。
それに人に話せるレベルの点数でもない。
次の中間試験はもっといい点数を取らないと。
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設定に誤りがあったので一部修正。栗田、鮎川、大室は川野中出身でした。3/18
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