第6話ちょっとした絆

本吉には本吉の苦労があるが、両親には両親の苦労があった。

 本吉が立って喋れるようになったあの日から、少しづつ日は進んでいる。あれから、本吉の成長しているふりはどんどんエスカレートしていき、今日はパソコンに手を出そうとしていた。

 「お父さん、パソコン借りていい?」

 「いいぞー。でも何に使うんだ?」

 「今日、ブログをはじめようと思ってるんだ。」

 「何のためにだい?」

 「ちょっとしたお小遣い稼ぎだよー」

 もう父もちょっとやそっとのことでは驚かなくなっていた。

 「それってお父さんにもできるの?」

 「できるよ、やる?」

 「おう。」

 「じゃーお父さんと僕の日常を記録したのにしようよ。」

 「いいなーそれ。楽しそうだ。」

 そんなこんなで父とのブログが始まった訳だが、一つ問題が生じた。

 内容を考えるのは、もちろん本吉なのだが、まだ、手が小さすぎてタイピングがスラスラできないのである。お父さんはブラック企業に勤めているから、帰りが遅いので、どうしたものかと父と考えていると、本吉の嫌いな、母が割り込んできた。

 「それなら、お母さんがやろうか?」

 「えっいいの?」

 「でもその代わり、稼いだお金の一割ね。」

 「うん、いいよ」

 という訳で本吉家一家総出のお小遣い稼ぎが始まった。

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