第2話壁
今、生きている中でよっぽど悪い思い出を持っている人は大体、自分の記憶がもし来世があるのなら、引き継げればと思うだろう。本当にもし来世があるのならだ。しかし、来世に記憶を引き継ぐなどできっこない行為だということは、普通の一般常識が無くてもわかることだと思う。もし引き継げても、来世の記憶があるなんてことを言ったら、そのことが本当だと照明されない限り、その人は頭のおかしい人とまわりから認定される、最悪もっとひどい言われようをする可能性があるため、その人の前世が普通の人ならそんなことはしないだろう。
そういうわけで、人には来世があるやら、輪廻転生などのことは、全く持って今の科学技術などでは立証できないのである。
そんな中つい先日この世に生をぎりぎり受けられた、前世の記憶のある本吉本は、生まれてすぐに壁にぶち当たったのだが、またも当たったのだ。
本吉の今の状態は生まれたての赤子だ。それなのに、多分しゃべることができるのである。なぜ多分なのかというと、やってみるにしても近くに母親が寝ているからである。ちなみに今の状況の近くとは限りなくゼロ距離だ。そんななかで何かの単語を口にしたら、母親も空耳ではすまないだろう。
こんな状況の中、本吉はトイレに行きたくなった。さてどうしようかと本吉は模索を始めた。
すごくトイレに行きたいが、生まれて早々「おかあさん、トイレいきたい」などとは言えない。かといって、一人でにトイレに行くのはもっとだめだ。だがしかし、泣き方がわからない。
そこで本吉は最終的に叫ぶことにした。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああー」
案の定、失敗した。
一つ目の問題として、思いのほか「あ」の発音がうまくいったのだ。いや、うまくいきすぎたのだ。これでは、ただ何かが怖くて叫んだ悲鳴のようになってしまった。
母はというと、やっぱり飛び起きた。多分、本当に飛んだのだろう、起きてから、肘を少し気にしていた。後から父も起きて来た。
まあいいやと本吉は思ったが、父と母はトイレに連れていってくれなかった。
しょうがないから、本吉はおしめを履いていたのでその中に用を足した。
本吉は後から考えて思った。赤ちゃんがトイレ行くか?と。
考えていたことが、根本から間違っていたのだ。
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