第360話 悠莉の視点 年上は経験済みだからこそ美味しくなる
「お姉様!!」
私は女が好きだ。
それもめっさ。
性的に。
「“お姉様”?」
「っ?!」
そんな私には犯したい女性、いや犯されたい女性ランキングというものがある。もちろんそんなランキングは公表でにない。
「あ、いや、これはその、あははは」
「「?」」
そして私の目の前にいる女性がそのランキング、ぶっちぎり1位の――
「おはようございます、西園寺先輩」
――生徒会長こと、西園寺美咲さんだ。私は軽くお辞儀して挨拶をした。
普段、女子を犯したいと願っている私でも、お姉様の前では犯されたいとしか思えない。秒で屈して弱点言っちゃう自信がある。
「なんでワタシの名前を......。うちの生徒だよね?」
「制服から判断してくださいよ。同じ高校ですよ」
まだ認知すらされていないとは......。犯されるまでまだまだ距離はありそう......。
******
「先輩、まずは説明をしてください」
「え」
「説明」
「あ、はい」
説明させるに決まってんだろ。お前、以前、桃花ちゃんとワンナイトした疑いがかけられているんだぞ。嘘つかずに話せよ。
「会長とは最寄り駅が一緒でさ。今日は偶々一緒に登校してたんだ」
「へぇ。私と待ち合わせしていたのにですか?」
「っ?!」
ヤリ○ン野郎は私の一言に言い訳することなく、痛いところを突かれたと言わんばかりに黙っていた。
「落ち着いて。彼を誘ったのはワタシだ」
「西園寺先輩が?」
「そ。というか君、かなり独占欲あるね。そんなに彼のことが好きなの?」
「っ?!」
今度は私が痛いところを突かれた。
まさかお姉様に嘘を言わないといけないなんて。でも好きですくらい言わないと怪しまれるし......。
「そ、そうです! わ、私は先輩が好きなんです!」
「ゆ、悠莉ちゃん......」
「......ふーん」
ごめんなさい。罰として後で私のこと調教してください。むしろお願いします。
......私が西園寺美咲と出会ったのは入学式より前、高校の事前説明会があったときだ。入試を受ける前に、どんな高校か知りたかった私はその事前説明会に参加して西園寺生徒会長と出会った。
まぁ、会話するのは今日が初めてなんだけど。
あの時はすごかったなぁ。ちょっと濡れたもん。
これが年上の魅力か。加えてモデルみたいに足はすらっと長いし、ショートボブのその髪型が大人な女性って感じでエロティックだ。
自慢の私のおっぱいもお姉様とどっこいどっこいな気がする。機会があればぜひ乳繰りあいたい。
「おアツいね」
「へへ。そうですね」
お前は黙ってろ!! なんでお前より大好きなお姉様に対して男が好きと言わないといけなんだ!
くぅー! こんなかたちでなければもっと他の話題で仲良くなりたかったのに!
「あ、紹介がまだでしたね。彼女が自分の――」
「百合川 悠莉君でしょ。知ってたさ」
「さっきうちの生徒かどうかすらわからなかったでしょう、あんた」
そこはちょっとだけ傷ついた。
「百合川 悠莉君、放課後に少し時間あるかな?」
「「っ?!」」
その言い方はまさかのお誘いですか?!
「ちょ、悠莉ちゃんに変なことしないでくだしさいよ!」
いえ、むしろ変なことしてください!! ぐへへ。
「変なこととは心外だね」
「そうですよ! 先輩は黙っててください!」
「ゆ、悠莉ちゃん......」
私の突き放すような言い方にヤリ○ン野郎はしょんぼりしているが、気にしている余裕は今の私にない。
「放課後、よかったら生徒会室に来てくれないかい?」
「え、生徒会室ですか?」
「うん」
せ、生徒会室で何を?!
とりあえずコンドームは持って行こう。あ、私に竿は無かったな。そんな期待半分の私と違い、ヤリ○ン野郎は不安気な顔をして会長に聞いた。
「じ、自分も行っちゃ駄目ですか?」
「駄目。彼女と二人で話がしたいんだ」
「さいですか......」
そうだそうだ! お姉様とイチャイチャすんじゃ! 貴様は家帰ってマスでも掻いてろ!
「悠莉ちゃん、その、気をつけてね」
「? わかりました」
いったいこの男はなにをそこまで心配してるのだろう。私にはわからないが、せっかく憧れのお姉様と二人っきりになれるのだから、できれば今日は大人しく一人で帰ってほしい。
そう思いながら私たちは学校の最寄り駅まで電車に揺られるのであった。
*****
「百合川です! お姉――生徒会長いらっしゃいますか!」
待ちに待った放課後である。私は授業が終わって少し時間が経ってから生徒会室に向かった。お姉様が先に生徒会室に居ないと意味ないしね。
「入って」
その一言を聞いて私は生徒会室に入った。
扉に向かって奥の窓側にある机でお姉様は仕事をしていた。他の生徒会のメンバーが使う机よりも大きく、また年季の入ったそれは生徒会長の威厳を何割か増しで主張していた。
ここが生徒会室かぁ。
「お待たせしました」
「そこまで待ってないよ。それに仕事もあるしね」
そう言ってお姉様は机の上に置かれている山積みの書類の天辺をポンポンと叩いた。生徒会長が忙しい身であるとよくわかる光景だ。
「で、何の用で君を呼んだと思う?」
「......先輩のことですよね」
どの先輩だ、なんて野暮なことは言わなくても、お姉様はちゃんとわかっている。じゃなきゃ朝あんな冷たい視線で私とヤリ○ン野郎を見ないもんね。
あのときはお姉様からのお誘いだと浮かれていたけど、よくよく考えてみればそんな雰囲気じゃなかった気がする。残念なことにね。
あ゛あ゛ー。
やべ、おっさんの溜息みたいな声が。
「ほぉ......。話が早くて助かるよ」
「私たちの交際に何か問題がありましたか?」
「“問題”。問題かぁ......」
お姉様は髭なんて無い顎を擦って考える素振りを私に見せる。
桃花ちゃんと陽菜ちゃんもそうだが、未だ二人はなぜかヤリ○ン野郎との距離を置こうとしない。私という彼女がいるのに、だ。遠慮とか諦めとかそういう念が感じられない。
あ、でも今日は陽菜ちゃんは死んでた気がする。一日中ぼーっとしていて、生きているのかわからなかった。何があったんだろ。
「彼が好きという君の気持ちは上っ面だけならわかった」
「?」
「今から君にあるものを見せよう」
そしてどういう訳か、お姉様も同じ感じがする。もしかしてヤリ○ン野郎のことだからお姉様を既に抱いたとか?
大いにあり得る。
お姉様の話を聞くだけ聞いて、頭では相手が何を隠しているのか探っている私である。そんな私にお姉様は自身のスマホを渡してきた。
「っ?!」
スマホの画面を見た私は驚愕した。
画面に写っていたのはなんと――
「せ、先輩の全裸姿......」
「ふふ。まだ見ていないかい?」
一糸まとわぬフルチン野郎が爆睡している写真であった。
え、ちょ、ええー。なんでお姉様はそんな写真を......。
でも合成写真とか疑う気が全く起きないな。だって私の彼氏(仮)、ヤリ○ンだし。
お姉様と寝たってか? いつ? いや、いつとか関係ねぇな。あいつがヤリ○ンだったって事実が明確になっただけ。それだけだ。
【悲報】彼氏がマジでヤリ○ン野郎
【悲報】お姉様は膜無し
......少し疑問なのは、この男はベッドじゃなくて藁に埋もれて寝ている点である。事後の写真に変わりない気がするけど......いや、なんで周りに藁があんの?
「これを見て、君は彼と今後も付き合えるかい?」
「くっ」
「他にも写真はある。見たいのなら見せてあげよう」
お姉様はなぜか勝ち誇ったと言わんばかりに写真を私に見せつけてきた。私が彼と付き合っていることが遺憾なのか、ただの嫌がらせか......。
それでも私にはまだ桃花ちゃんたちのこともあるから!
彼女たちが既にヤリ○ン野郎の餌食になっていたとしても可能性はあるから!
「ふふ。悪いことは言わない。早いとこ彼と別れて――」
「それでも私は諦めませんからぁぁああ!」
「え゛」
「うわぁああぁぁぁぁああん!!」
私は号泣しながら生徒会室を飛び出したのであった。
*****
〜その後〜
*****
「あれ。会長、今日は早いですね。扉が開けっぱなんで誰かと思いましたよ」
「......書記君に1つ聞きたいことがあるんだけど」
「はい、なんでしょう?」
「例えばの話だ。君に彼氏がいたとして、その彼氏が全裸で寝ている写真を突如他の女から見せつけられたらどうする?」
「その女性と疚しいことがあったのかなと思って、彼を問い詰めるかフります」
「だよね......」
「?」
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