ハロウィン特別回第二弾!! コスってプレイ?
ども! おてんと です。
突然ですが、今日はハロウィンですので特別回です!
本編とは全く関係ありませんので、久しぶりの“セクハラノベ”をお楽しみください。
――――――――――――
『ガラガラガラガラ』
「高橋、お邪魔しまーす」
「「「トリックオアトリート!!」」」
「うおッ?! びっくりした。あ、もうそんな時期か」
中村家の玄関の戸を開けたら、狼娘とピエロとナースが俺を襲ってきた。
天気は晴れ。と言っても、今日は日曜日でもう夜だ。
そして10月31日である。
そう、ハロウィンだ。
しかも二回目。
「皆すごく似合ってるよ」
「でしょ? 去年とは違った衣装よ」
「そして今回も手作りです」
「今年は前もって連絡したのに、和馬君は何も仮装してこなかったの? ほら、ちゃんとスマホのメール機能使ったんだよ」
「え? あ、本当だ......ってこれ送信失敗しているじゃないですか。機内モードじゃないですか。馬鹿ですか」
葵さんは「ひど?!」と悲しんでいるが、スマホを使いこなせていないのは事実なので受け入れてもらいたい。気づけよって話。
去年は不意を突かれてハロウィンパーティーに招かれたバイト野郎だが、どうやら今年もちゃんと開催するらしい。
そして去年と同じで中村家の内装はハロウィン模様と化していた。テーブルには豪華な料理がたくさん並べられていた。
「あの、真由美さんたちはまた?」
「うん、気を利かせてくれて今年も子供たちだけで楽しんでって」
「ママは居ても楽しめるのにね」
「“パパ”という単語が出ないあたり、私の妹はお父さんを招く気ないのですね」
悲しいこと言うなよ。雇い主が聞いたら泣いちゃうぞ。まぁ、そんな格好をあの雇い主に見せたら口煩くされそうだもんな。
「ふふん! それでどうよ! “似合ってる”の一言じゃ足らないわ!」
陽菜が仮装した姿で、片足を軸にしてくるりと回って俺に見せてきた。同時に、彼女特有の甘ったるい匂いが俺の鼻腔をくすぐる。
「ふむ、今年は狼男ならぬ狼娘か」
「そうよ。ケモミミが最高に可愛いでしょ!」
ポニ娘は上機嫌である。さっき手作りだって千沙が言ってたから、きっと陽菜の衣装も手作りなんだろう。器用なもんだ。
彼女自慢のケモミミはかなり大きい。また単純にカチューシャでケモミミは装飾されていた。
衣装は薄手で露出度が高めのジャケットにショートパンツと野生さを表している。尻尾も付いてるな。すげ。
両手両足には狼の特徴的な爪付きのモフモフグローブとモフモフシューズが身に着けれられていた。
まんま狼娘である。しかもちょっとエッチぃの。
「ああ、すごく可愛いよ」
「っ?! そ、そうでしょ。えへへ。あ、そうだ、決め台詞考えてたの」
そう言って陽菜は可愛らしく両手の爪で引っ掻くようなポーズをとって言う。
「ガブガブしちゃうわよぉー!」
どこを? いや、どこにシてくれるんですかね。とりあえずガブガブお願いします。ドピュドピュするんで。
発情期真っ只中なメス犬め(笑)。
あとで交尾すっからベッドでお座りしてろ! すっとこどっこいずっこんばっこん!
「ケモミミ触っていい?」
「性感帯だからそっとね」
カチューシャですよね?
俺はポニ娘のその一言を聞いて触りたい気持ちが失せたので、彼女のカチューシャには触れないようにした。
「兄さん、私はどうですか?」
今度は千沙が見て見てと言って俺に仮装姿を見せてきた。
彼女の仮装はピエロである。去年は魔女っ娘だったっけ。相変わらず衣装やメイクのクオリティーが高いのが、素人である俺からでもわかる。
またピエロの象徴と言っても過言じゃない真っ赤な鼻が千沙の可愛らしい鼻の上に付けられていた。
そんでもって去年と変わらず露出度の低い布面積だ。手は真っ白な手袋をして、靴は爪先が尖って反り返っているピエロ独特の靴を履いている。辛うじて彼女の肌が見えるのは首から上だけだ。
っておい、室内だろ。いくら仮装でも靴履くか。まぁ、細かいこと言うのは野暮か。
「ちょ、無視しないでくださいよ!」
「あ、ごめん」
彼女のピエロ姿をまじまじと観察していた俺は早く感想を言えと催促されてしまった。
ピエロって名前に“エロ"が入っているのに、今のお前は全然エロくもなんともないんだもん。
「ああー、うん、エロくはないが、可愛いよ」
「ピエロをなんだと思ってるんですか!」
「クオリティーを求めるのはいいが、お兄ちゃん理解に追いつけない」
「追いつけないんじゃなくて、エロで追いヌこうとしているだけでしょう?! このクズ兄ッ!」
ちょっと何言っているのかわからない。“エロで追いヌこうとしている”ってなに。
「ピエロって言うからには何か芸ができるのか?」
「? ああ、そうですね。ジャグリングでもしますか」
ごめん。“できる”か“できない”かで聞いているの。“しますか”は床を散らかす未来しか視えないからやめて。
「じゃあ、生卵4ついきまーす」
「ごめんなさい。僕の妹はこの世で一番可愛いです」
「最初っからそう言えばいいんですよ」
言わされたようなもんだけどな。
俺は冗談でも片手に生卵を持ち始めた千沙の奇行を褒め言葉で全力で止めることに成功した。
さて、今度は葵さんか。
「......。」
「な、なに?」
葵さんは引き気味な顔つきで俺にそう言ってきた。
「あの、なんでナース姿なんですか?」
「うっ」
彼女の仮装は妹たちのハロウィン定番と違って、こう、コスプレ!って感が超強い。
淡い桃色のナース姿は所々血のような汚れが施されていて、少しボロい感じもある。またエロティックにも袖が短く、スカートの丈も短めだ。
仮にこんなのが病院にいたら患者を刺激してお仕置き待ったなしだろう。
そんでもって安定しておっぱいは衣装が引き裂かれんばかりに大きさを主張していた。お金払うから聴診器当てちゃ駄目かな。
「その、廃病院を意識しての衣装というか」
「ああ、それで衣装の所々に処女の出血が」
「処女の出血が体中に飛び散ってるわけないじゃん!」
「え、でも葵さんは経験無いんですよね?」
「ドストレートにセクハラしてこないで!」
「まぁ、否定しないってことはそういうことなんですね。そうなーすね」
「“そうなんすね”みたいに言わないでよ!」
しっかしオスの患者を刺激する衣装だな。
注射すんぞ。というかシたい。最初は血が出て痛いかもしれないけど、とりあえず注射して白いもん注ぎ込みたい。
あ、ちゃんと注射ね。18禁的な意味じゃないから(笑)。
針は太くて反り返ってると思うが。
「私たちの仮装姿はお披露目しましたし、今度は兄さんの番です」
「え、俺なんも持ってきてないよ」
「去年みたいに家にあるものでいいじゃない」
去年はアレだろ。トイレットペーパーを俺の全身に巻つけてミイラ男みたいにしたアレだろ。
もうやんないよ? 鼻血と立ち上がった息子のせいで散々な目にあったもん。
「あの、もう二度とミイラ男はやりたくないんですが」
「安心して。今年は違うから」
「そうよ。なんであんただけ去年と同じなのよ。まぁ、あれはあれで別に良かったけど」
「アウトです。最終的に兄さんはほぼ全裸男に仮装されたじゃないですか」
全裸男は仮装じゃないよ? 男なら誰でも出来るし、外でしたらハロウィン関係なく逮捕されちゃう。
葵さんは奥からなにか道具を取り出して俺にそれを渡してきた。きっとこれが今年の俺の衣装なんだろう。
「......。」
渡されたのは半透明のポリ袋と鋏である。
「あの、これは?」
「え? わからない?」
「“おばけ”よ。お・ば・け」
「鋏は口とか目とか腕出す際に必要な穴を作るのに使ってください」
マジすか。去年のミイラより雑だなおい。まぁ、身体に水に流せる紙を巻くよりマシだな。
「あ、言っておくけど上半身半裸ね? その上から被ってよ」
なんで服を脱ぐ必要があんだよ。仮装関係なくあんたの好みだろ。
「まぁでも服着てたらただのゴミ袋を被った人間ものね」
「そうですね。撥水性に富んだ人間です」
服着る着ないでそんなに変わる? ただの変態じゃない?
でもこういうのって俺の意見で中途半端に仮装するよりも、皆の意見を尊重して思い切った方が盛り上がるに違いない。
俺は仕方なく三姉妹の言う通りに仮装することにした。
「はぁ。トイレ借りますね」
「早くしなさいよ」
「皆仮装してのパーティーだからね」
「あ、ちゃんと『トリックオアトリート』と言って登場してくださいね」
め、面倒くせぇ。
*****
「トリックオアトリート!」
「「「う、うおぅ」」」
引くな。ぶち殺すぞ。
おばけに仮装した俺は引き気味な反応を見せた三姉妹に殺意が湧いてしまった。
格好は俺の膝下まである半透明のポリ袋を逆さにして頭から被り、口や目を使うために穴をあけていた。
無論、三姉妹のご希望通り半裸――ほぼ全裸である。
「ちょ! なんでズボン履いてないのよ?!」
「ほんとだ! 逞しい腕だけじゃなくて、脹脛まで?!」
「に、兄さんがそこまで変態だったなんて」
安心して下さい、穿いてますよ(パンツ)。
変態野郎が被っているポリ袋の下は下着以外何も身につけていない。そりゃあ半透明で見えにくいって言っても、見ようとすれば色々と見えちゃうよな。ボクサーパンツだけはマナーとして履いたが。
「半端なのは嫌いでして」
「半裸は半端のうちに入らないよ! でもありがとう!」
「さ、さすが姉さんですね」
「半端が嫌いっていうならパンツも脱ぎなさいよ。“全裸”か“半裸”なんでしょ」
くっ。陽菜のくせにぐうの音も出ないこと言いやがって。
「まぁまぁ。とりあえず......はい、これ」
「?」
またも葵さんから何か渡された変態野郎である。今度は何させられるんだと身構えてしまった俺だが、それも心配する必要がなかった。
「お菓子?」
「そ。ちゃんと手作りクッキーだよ。ハロウィンらしいこと仮装以外にもしなきゃね」
「葵さん......」
「そ、それに和馬君のことだからお菓子あげないと、え、ええエッチな悪戯されそうだし」
廃病院出没ナースが恥ずかしそうにそんなことを言ってきた。
こいつ......わかってんな?
ならもう口にしよう。
「はは。冗談なんだけ――」
「バレましたか。葵さんの言う通り、お菓子をくれなかったら息子を使ってイタズラしちゃうところでした」
「だからそういうのやめてって!」
「息子には“ゴム”の仮装をさせました」
「ハロウィンパーティー中になにコンドーム装着してるの!!」
はは、ざーめん(笑)。じゃなくて、さーせん。
「くっ! そういうことなら本当はお菓子あげたくないんだけど、私からはコレをあげるわ!」
聞き捨てならないことを悔しそうな顔つきで狼娘が言って、葵さんと同じく俺に何かを渡してきた。
渡されたのは、ハロウィンデザインの小型のリモコンである。真ん中には三角形のボタンが2つ。エレベーターでよく見かける“上”と“下”が三角形の頂点の向きでわかった。
「あの、コレはなんですかね?」
「え? おかず――じゃなくて“お菓子”よ」
少なくとも口に入れるものではありませんね。ええ、はい。
それに見覚えがあります。
俺がこのリモコンがなんなのか悟ったと同時に、陽菜は姉たちに聞かれないよう、俺の耳元で囁いた。
「ほら、私、今狼娘じゃない? 尻尾も凝ってるのよ」
「......。」
そう言って陽菜は身をくるっと回した。そして狼娘の尻尾を見た。......それ、電動ですよね。さっきお前の衣装が紹介されたときに尻尾を見かけたけど全然気づかなかったよ。
まさか“*”に入ってるなんて......誰がわかんだよ。
「お、おま、ハロウィンになんちゅうもんを装着してんだ」
「ゴム着けてるあんたに言われたくないわ」
「俺のは冗談だよ」
「あらそう。後ろを見ればわかると思うけど、ちゃんと入れてるわ」
あらそう......。
あの、これ以上ハロウィンパーティーでしちゃいけない会話をしちゃうと息子が反り返っちゃうのでやめませんか?
「試しに上のボタンを押しなさ――」
「さっきから二人でなにこそこそと話しているんですか! パーティーは皆で楽しむものですよ!」
陽菜が俺に電マのスイッチを入れろと催促しかけたところで、我が妹が兄の窮地を救ってくれた。
そのチャンスを活かして俺は何事もなかったかのように陽菜から受け取ったリモコンをポケットに......って全裸だった。ポケットなんか無かったよ。
とりあえずスイッチは押さないように気をつけて持ってよう。
俺はナースとピエロの気を逸らすため、話題を変えることにした。
「ちなみにこの流れだと、千沙からもお菓子を貰う感じだけど」
「は? 妹ですよ? 兄が妹に与えるのであって、妹から与えるものは一切ありません」
うっわ。言い方。こういうとこがなぁ。いやまぁ、俺もなんも用意していないけどさ。
俺は少しイラッときたので千沙の真っ赤なピエロ鼻をぶち取ってそこら辺に投げ捨てた。
「いたッ?! なにするんですかッ!!」
「さ。冷めないうちにご馳走をいただきましょう」
「そうだね。仮装のお披露目も終わったことだし、食事にしよっか」
「ねぇ、今気づいたんだけど、私座れないわ」
無視無視。ナースとピエロは頭に“?”を浮かべているが、末っ子の正体を知っては今夜のパーティーを楽しめないだろう。
どうやら今年のハロウィンも賑やかになりそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます