第181話 藁わは寂しくないぞ・・・ぐすん

 「会長、挿入れますよ」

 「うん。きて」


 天気は......気分は快晴。10月中旬である今、秋を感じさせる―――ええいっ!! んなことどうでもいいわ!


 「あ、あれ? どこだ?」

 「ふふ。初めてだから無理もない」

 「こ、子供扱いしないでくださいッ! ここですね! えいッ!!」

 「んにゃッ?! ちょっ、そこ違う。用途が違う穴だよ。一回抜いて」

 「あ、はい」


 ............初めてだからぐだぐだになるのもしょうがない。


 用途が違う穴......略してア〇ルですね。


 「ここ。そのまま腰を前に......んっ」

 「くっ!! キツい!! ちぎれちゃいそうだ!!」

 「ちぎれるかどうか試してみる?」

 「シンプルにやめてください」


 単刀直入に言おう。俺は今、会長と同衾もとい、交尾をしているところである。


 そう。脱・童貞なのだッ!!


 こ、これが......これが! あの!


 「う、動きますよ」

 「はぁはぁ。んんっ! そ、そんなに激しくしていいの? ま、またすぐ果てない? あっ」


 会長の息が荒い。いくら普段冷静な会長でもこんなときは顔が赤くなるらしい。


 「で、デちゃっても......すぐに再開します!!」

 「っ?! そこ気持ち良い......」

 「ここですねッ?!」


 俺があの会長を......。駄目だ! 視覚的にも聴覚的にももうもちそうにない!


 「うっ! デます!」

 「わ、ワタシも.....んっ!.....そろそろ」

 「い、一緒に.....」


 俺はより一層、ペースを上げてがんがん攻めることにした。


 「「い、イク―――」」




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 「イッグぅぅぅうううう!!!」

 「うるさい。近所迷惑」

 「あ、すみません」


 なんてことはなかった。


 「.....会長、ここは?」

 「ここが君の部屋だ」

 「ここ.....ですか」

 「うん、

 「.....。」


 まさかのわら小屋。


 だよね。期待した俺が馬鹿だったわ。


 バイト野郎は会長に言われるがまま、期待マックスで西園寺家を訪れたのだが、この藁小屋と言われる場所に案内されて、夢は微塵も叶わなかったと悟った。


 「なんで藁小屋なんですか?」

 「? 知ってるでしょ? うちには空き部屋が無いってこと」

 「そうですけど」

 「もしかしてワタシの部屋で泊まれることを期待してた?」

 「黙秘権を行使します」


 ええ、はい。その通りです。


 はい、これで童貞記録は更新されました。16年ものですよ。このボトルチ〇ポ。


 「はは。面白いこと言うね。順序を何個飛ばしてるんだい、それ」

 「そですねー」

 「手を繋いですらいないよ」

 「そですねー」

 「まぁ、藁小屋を使わしてあげるんだ。感謝してよ」


 藁小屋で寝泊まりって。それ、いつの時代の話ですか?


 農家ならではの冗談ってことで終わらせましょ。会長の部屋で寝たい。


 美女とセッ〇ス妄想から時代錯誤のような現実とのギャップが凄すぎて感謝の気持ちが芽生えません。


 すみません、恩知らずで。


 「結構あったかいよ? 寝心地良いと思う。寝たことないけど」

 「ないんかい。はぁ......まぁでも、藁小屋で寝れるなんて今時じゃあそう体験できませんよ」

 「でしょ。今じゃあそんなこと親が看過しないだろう。軽く虐待みたいなものだし」

 「たしかに。ではせっかくですので借りますね?」

 「うん」


 最悪、雨風凌げればいいし、あの場に居たら警察に補導されたかもしれない。素直に感謝しよう。それにちょっとわくわくしてきた。


 「あの、自分、まだ挨拶済ませてませんけど」

 「そんなのいいよ。もう遅いし、凛さんたちはわからないけどお母さんたちはもう寝ている頃かも」

 「そ、そうですか」


 ということなら、しょうがない。いや、しょうがないのか? やっぱり今更だけど迷惑じゃないかな。


 「そういえばお風呂は?」

 「中村家で済ませました。食事も」


 「そ。なら朝食だね」

 「え」


 「朝食、こっちで用意するからそのつもりで」

 「いやいやいや! そこまで?! それに会長、まだ家族に言ってないですよね? 道中、家族に電話してなかったし」

 「少し叩き起こして言うから平気」


 ねぇ、それ、叩き起こされた怒りの矛先が俺に向かない? まぁどっちにしろアポ無しで来た俺がいけないんだけど。そんなテキトーな感じでいいのか。


 「それに付き合いは短いけど、皆、バイト君のこと良い子だってわかってる。迷惑なんて感じる人、西園寺家には居ないよ」

 「会長.....」


 なんていい所なんだ。西園寺家。中村家といい、皆優しすぎ。俺は本当に果報者だ。


 「それじゃあ、また明日」

 「はい! あいがとうございます!」

 「あ、そうそう。皆、朝早いから、もしかしたら朝食後は仕事手伝ってもらうかも」

 「お安い御用ですよ!!」


 こうして、俺は藁小屋に寝泊まりすることになった。ちなみに朝ご飯は4時半らしい。早っ。まだお外真っ暗の時間帯だよ。


 バイト野郎もそれに備え、21時過ぎと少し早いが寝ることにした。無論、親には連絡しといた。あっちも心置きなくヤれるからか、二つ返事だったことに腹が立ったことは言うまでもまい。


 「そういえばこの藁小屋.....」


 以前、西園寺家の皆で、手分けして藁をまとめ、紐で縛った物が山のように積んである。同時にバイト野郎の乳首開発もした日である。ここに保管してあったんだ...。


 藁小屋。なんかいいなぁ。秋の夜は涼しいけど、これだけでもあったかい。


 「あとは馬が居ればなぁ」


 藁小屋と言ったら馬でしょ、馬。憧れだけど、こればかしは贅沢を言える立場じゃないな。漫画の見過ぎだ。今日の所はここで寝よう。


 「少し...暑いぃ........。ふぁあ~。でも意外と寝れる...かも」


 バイト野郎、今日は色々あったため、意外にも秒で寝れたのであった。



―――――――――――――――――――



すみませんでしたぁぁぁあああああ!!!


前回、予告で『農業する』って言ったのに嘘ついちゃいました! 許してください。


次々回こそは............次々回こそはぁ!!


それでは、ハブ ア ナイス デー!

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