第110話 第二回 アオイクイズ ~葵編~
「ふむ。『色』......ですか」
「ふふ。そのゴーヤはこの場には無いからね。ノーヒントなら、お得意の分析はできまい」
考えたな。ノー知識でノーヒントってのがズルいけど。
俺と葵さん、陽菜は仕事もせずにクイズ大会を開いていた。クイズ大会名は......(以下略)。
まぁノーヒントならこっちから引っ張り出すまでだ。
「色が一般的な緑色のゴーヤと違うのでしたらスーパーなんかで見たことありませんね」
「そんな仕入れないしね」
「ってことは、あまり農家の方は栽培しないんですね」
「え」
「仕入れない。つまり、市場では
「ちょっ」
「もしくは栽培方法が難しい。そもそも日本などの気温や天候に左右されやすいなどの理由で、作っている農家が少ないのかなと」
「ま、まま待って!」
「まぁ作物を買ってくれる人がいなかったら作り損ですし、後者ですよね?」
「い、いや、そ、そうは思わないけど?」
「その反応......なるほど、当ってるんですね」
「お願いしますッ! 誘導尋問やめてくださいッ!」
「嫌です」
なにこの人。もう最初の一言で「仕入れない」って言ってるし(笑)。それヒントじゃん。お口にゴーヤでも突っ込んでた方がいいんじゃないですかぁ?
「あ、葵姉は私を先に差し出しといて何を学んだの......」
「うぅ.....」
実の妹から駄目だし食らってますよ。はは、楽すぃー。この調子でどんどん掘るぞー。
「偏見ですが、緑色のゴーヤには『苦み』がありますし、緑色ではないということからその『苦み』が少ないと思われます」
「わ、私が聞いているのは“味”じゃなくて“色”だよッ!」
「あ、葵姉落ち着いて、どーどー」
「まぁまぁ焦らないでくださいよ」
「こ、答えにたどり着きそうで怖い....」
「なんでクイズ持ち掛けたの....」
陽菜と同意見。まじで葵さんの罰ゲームと釣り合わないクイズだよね。色を当てろって、知らないよそんなの。
「焦らすの結構楽しいですね」
「クイズにまで性癖もってこないでよッ!」
「わ、私も一回焦らされてみたいかも」
「「......。」」
聞かなかったことにしよう。よし、次の質問だ。
「『味』も関係してますよ」
「どこがッ?!」
「そうですね。例えば、玉ねぎなんかどうでしょう。ただの玉ねぎをサラダなんかにも入れますが、もっと辛みの少ない“赤玉ねぎ”もサラダに使います」
「う、うん」
「その赤玉ねぎの色は『赤』というより、個人的には『紫』に見えますが」
「だから『色』と『味』は関係しているかも......と?」
そう。野菜ではよく違う品種として“紫バージョンの野菜”がある。経験則だがそういった別品種の野菜は生で食べられることが多い。
「そうです。もし仮に、『紫色』のゴーヤが答えでしたら、火を使わない料理生で食べれそうなイメージがあります」
「な、生はどうかと思うなぁー」
「......なるほど。『色違いのゴーヤ』は生でも食べられるんですね」
「もうやだぁー」
葵さんが涙目で陽菜に膝をついて縋りつく。おいおい、俺の下半身にも不出来な
ふむ、『生』で食べられるゴーヤか。想像つくのは今まで見てきた野菜の中で変わった色の野菜と言えば、『オレンジ色』、『紫』、『黒』かな。
「いい加減にしてッ! そろそろ答えてくれないと不正解にするよ?!」
「横暴すぎる......」
『オレンジ色』というのはゴーヤが熟したときの色から判断している。このクイズが始まる前にも、「数日前の収穫の際に取り忘れた」って言ってたし、色が変わっただけのゴーヤをわざわざ問題に出さないだろう。
ってことで、『オレンジ色』ではない。
「和馬、ヒント欲しい?」
「陽菜ッ?!」
「え、くれんの?」
「私にスマホのパスコード教えてくれたら考えてあげるー」
「却下で」
「なんでよッ?!」
「常識的に」
なんでそうなる。お前に教えたら定期的にデータ消しにくるだろ。
「最近、あんたがスマホのパスコード変えるからいけないんでしょ?!」
「なんで知ってんだよ?! あ、もしかして昨晩の『5分待ち』でロックがかかっていたのはお前の仕業かよッ!」
「なんで変えんのよッ?!」
「変えて良かったよッ!!」
昨日、夕飯を摂った後にリビングで皆とくつろいでいたが、トイレ行って帰ってきたら、スマホの強制ロックされていた。
何回もパスコードを“打ちミス”しないとああはならない。最初は千沙が遊び半分でやったんだろうと思っていたが、お前だったのか。
「っていうかその口ぶり、変える前のパスコード知ってたのかよ!」
「ええ、そうよ!」
「開き直った! なんで知ってた?!」
「あんたが無防備すぎるからかしら」
「行動に移すなよ! クソ淫魔め!」
「インッ?! あッーー! そういうこと言うんだ! 和馬なんか知らないわよ! この変態クソメガネ汁洪水機!」
「ほんとはデータ消そうかと思ったけど、バレるかもしんないから1日3枚ずつ消してんのよ!」
「おまッ! なんてことしてくれてんだ?! っていうか見たのか?! アレ見たのか?!」
「あんま貧乳系の無かったわね! 死になさいッ!!」
「二人とも落ち着いてッ!! どーどー! どーどーってば!」
喧嘩をおっ始めた俺たちに葵さんが止めに入った。クイズの途中でしたね。このことは後回しにしよう。ポニ娘め、絶対懲らしめてやる......。
「ったく。覚えときなさいよ....」
「こっちのセリフだ。ゴッホン! そうですね、えーっと答えは決まりました」
「お願いします! はずしてくださいッ!」
嫌です。罰ゲームがアレじゃなければテキトーに接待しますが、俺のこれからに関わるんで全力で行きます。
「答えは『黒』です」
「っ?!」
「へぇー、理由は?」
まぁ消去法だけど。『オレンジ色』はさっき考えたように違うだろう。
「最初は“赤玉ねぎ”のように赤色も考えましたが、葵さんの反応からあの時は『赤色』というより、『生で食べれる』という方が印象的でしたからね」
「......。」
「消去法ってことかしら。でもなんで『黒』なのよ」
葵さんはバイト野郎が答えを言ってからだんまりだ。答え合ってるってこと? はっきり言ってほしいな。
「いや、なんか以前テレビで『黒色の大根』を見たことがあってさ。それをサラダにして食べてたし。なんか『黒いゴーヤ』あるのかなって」
「......。」
「そんな大根あるのね。知らなかったわ」
まぁ、『黒』でも『紫』でもそんなゴーヤ、俺は知らなかったがな。っていうか葵さんがぷるぷる震えている。あ、もしかしてコレ、
「......。」
「葵さん?」
「葵姉?」
「あっはい!」
「答えは何色でしょう?」
「わ、悪いけど、二人はゴーヤの収穫をお願いします! 私、用事を思い出したから!」
おいおい、逃げる気ですか? そうは問屋が卸しませんよ。きっちりポッキーゲームは受けてもらいますから。それに前回の“お背中流し権2日分”もありますし。
「じゃ!」
「え、ちょっ!」
「えー答えくらい言ってよ、葵姉ぇー」
陽菜、答え知らないならさっきの「ヒントあげよっか?」は何だったの? 完全に騙しにきてんじゃん。
葵さんはやや興奮気味で軽トラのあるところまで走っていった。俺は巨乳長女を逃がさないため、追いかけようとしたが足を止めてしまった。
理由は葵さんの一言である。それは、
「ジョッキ冷やさないといけないから!」
..................え?
「仕事頑張って!」
「ま、待ってくだ―――」
「あ、ほんとだわ。『白いゴーヤ』ってあるのね」
ふぁっ?!
「生でも食べられるらしいわ―――」
俺は慌ててスマホで答えを確認した陽菜の方向に振り向いて走っていった。そして陽菜の片手ごとスマホをこれでもかってくらいガン見した。
「きゃっ! か、かじゅま、そそそそそういうのは―――」
「ま、まじで? 俺、間違えた......の...」
「え? あーどんまい」
近くで勢いよく走りだした軽トラのエンジン音が聞こえる。葵さんが家に戻るのだろう。
“半裸冷え冷えジョッキ生卵
――――――――――――――
またしても和馬の負け。
ども! おてんと です。
急ですが、一度この作品を考え直そうと思います。気づいたら140回くらい公開してましたが、いっつもグダグダしていて、「なにが書きたいの?」と思っている読者の皆様は少なくないんじゃないでしょうか。私もわかりません。
次回は「この小説ってどんな小説?」みたいな感じでさわりのとこを特別回にしようと思います。プロローグみたいな? 感じです。
......わかってます。こんなことしているから、いつまで経っても本編の“夏休み”が終らないんですよね。許してください。
それでは、ハブ ア ナイス デー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます