第109話 第二回 アオイクイズ ~陽菜編~
「では問題」
「デーデンッ!」
「.....陽菜うるさい」
「高橋君も前回言ってたじゃん....」
俺と葵さん、陽菜は仕事もせずにクイズ大会を開いていた。クイズ大会名はアオイクイズ(笑)。今回で二回目となる。
前回はバイト野郎が完全勝利した。今回、負ける気はないが、勝てる気もしない。
「えーっと『ゴーヤには緑色とは違う品種のゴーヤがあります。それは何色?』」
「私は『沖縄料理で有名なゴーヤチャンプルーの“チャンプルー”とは何?』よ!」
うっわ、2問出してきたし。まとめろよ。せこいぞ。陽菜に至ってはゴーヤのクイズというより、沖縄方言の問題じゃん。なにその変化球。
「ふむ....」
「降参する? 考えるのやめてもいいんだよ?」
はえーよ。諦めさせるの早すぎだよ。まだクイズ出して1分もしてねーよ。なんでクイズ出したんだよ。
「あ、葵姉、それはいくら何でも早すぎよ....」
「だ、だって高橋君に考える時間を与えると答えにたどり着いちゃいそうなんだもん!」
だからなんでクイズ出したんだよ。そんなに警戒するなら自分から吹っ掛けるなよ。
「ま、私は正解してもしなくてもどっちでもいいけど!」
「どちらかというと俺は正解したい」
「き、キスしたいってこと? そ、それはそのぉ、別の機会でしなさいよッ! あぁーどっちに転んでも最高ね!」
「いえ、最悪です」
こいつが要求したのは俺のスマホの写真などのフォルダを公開すること。マジで罰ゲームだ。異性に見せたらドン引きから始まって、通報案件で終わるデータしかない。回避しなければ。
「私は正解されると困るなぁー」
「ひ、酷いです。俺とのポッキーゲームがそんなに嫌なんですか」
「そ、そうじゃなくてッ! いや、コレ肯定しにくいね! 何とも言えないけど不正解の方がご褒美だよッ!」
「......。」
葵さんが要求したのは俺が冷え冷えジョッキで生卵10個を飲ませられるというマジキチガイな罰ゲームである。しかも半裸で。どこのロッ〇ーだよ、それ。
ジョッキを冷え冷えにする意味があるのだろうか。いや、ないだろうな。冷やせば良いってもんじゃないのよ。
「安心してね! 映画では海外の生卵だったから品質に不安があるけど、国産なら平気だよ!」
どこも安心できない。むしろ心配しかありません。貴方の頭の中身も心配です。
「この前、スーパーで1パック100円だったんだよ? 多めに買っておいて正解だったよね」
「......。」
「今思えば、あの特売価格は神の思し召しってことかな」
いえ、悪魔の思し召しです。俺にとっては。飲みたくはないんだけど、もうちょっと良い生卵がいいな。飲みたくはないけど。
「で、和馬、答えはわかったの?」
「まだ」
「ひ、ヒントはあげないから! 前回みたいなズルいやり方は許さないから!」
ヒントは別にズルくねーだろッ! 葵さんのポーカーフェイスが下手すぎてバレただけでしょ?! 俺のせいにすんな!
それにズルいのはどっちだ。
前回のは『赤いピーマン』が実際に目の前にあったからわかったものの、今回は『何色でしょう?』とかいう当てずっぽうしか選択肢がないじゃないか。ズルいぞ。
「「チクタクチクタクチクタク」」
う、うぜぇ。制限時間設けてないくせに急かしてきやがった。これがあんたらのやり方か。
ならこっちも攻めてやる。
「では順番ですし、葵さんの問題を考えましょう。『何色か当てる』問題でしたが―――」
「ダメダメダメダメ!」
「す、少しは譲歩してくださいよ」
なんですか。自信ありげに巨乳揺らしながら問題出しといて逃げるとか。先輩なんでしょ。余裕を見してください。ついでに、おっぱいも見してください。
「そうじゃなくて、私から攻めないでよ! 陽菜からでお願い!」
「「......。」」
これにはさすがの陽菜も絶句を禁じ得ない。実の姉に第一犠牲者になれという勧告を受けたんだ。ショックも大きいだろう。
「じゃ、じゃあ陽菜の問題から片付けようかな」
「かかってきなさい!」
よし、反応でヒントを無理やり引っ張り出してやる。
「ゴーヤチャンプルーの『チャンプルー』は前提として、沖縄方言だ」
「ええ、そうね」
「なに、まったく料理と関係ない語句を名付けるわけがない」
「ほうほう」
「そこでゴーヤチャンプルーの見た目から考える」
「ふむふむ」
「もちろんだがゴーヤは適当な大きさで切ってある。では切った具材をどうしているか」
「なるほどね」
「いや、その前に元々そういう言葉で特に意味はないのか......」
「はぁー」
「味付けか....」
「ひぃー」
反応が薄いッ! 見当違いなのか?! わっかんないよ! こっちが探ってもテキトーな相槌打ってるようにしか思えない。こいつ、答えを隠すのうまいな。
「......盛り付けている様か」
「ふぅー」
「......出来上がった料理の温度か」
「へぇー」
しかもさっきからは『は行』で相槌してるし。本当にテキトーすぎ。バイキ〇マンか。
どーせ、次の相槌は「ほぉー」だろ? 俺はお前の相槌を当てたいんじゃなくて、解答を当てたいんだよ。息子のためにもな。
「......炒めている様か」
「なっ?!」
「そこで『な』なのッ?!」
そこで『なっ?!』かよ!
というか、葵さんも俺と同じことで驚いたらしい。そうですよね。陽菜、『ほ』で驚け、『ほ』で。どーでもいいけど。
だが答えはもらった。そうか、わかりやすい反応で助かったよ。
答えは、
「チャンプルーの意味は『炒める』だッ!!」
「はい、ぶっぶー!」
「ほっ?!」
「高橋君、そこは『な』で良いと思う....どうでもいいけど」
なんてこった。反応で答えを探し当てたと思ったんだけどな。
「くっそ! じゃあ答えは何? どんな意味だよ?」
「? 知らないわよ、そんなこと」
「はぁー?!」
「高橋君落ち着いてッ! どーどー!」
陽菜の奴、どういう神経してんだ。出題者がわかんないって前代未聞だよ。いや待て。ってことは俺の答えもあってるかもしれないじゃん。ワンチャンあるっしょ、これ。
「じゃあ正解かもしれないな」
「それはないわ」
「は? 陽菜も答え知らないんだろ。わかんないじゃん」
「わかるわ。それは違うって」
「なにを根拠に―――」
「直感で」
お前の直感はググらずともインターネットに直結してんのか。
「んだ、それ。テキトーだなぁ」
「だから今からコレを使って調べるのよ」
そう言って陽菜は、胸ポケットからスマホを取り出した。スマホには件の“白い豚のストラップ”が付けてあった。....い、今はそんなことどうでもいい。
「陽菜....
「こういうとき、スマホに不慣れな葵さんは安心です」
「ねえ、高橋君、遠回しに馬鹿にしてる?」
いえ、まったく。
「よく言うでしょ? 『
「ぐ、ぐ....れ.....か、す」
「......。」
お前、今はぎりぎり俺に向かって言ってる感じだけど、葵さんに面と向かって言うなよ。ショックで寝込むとか言うレベルじゃないからな。持病になっちゃうよ。
しかも葵さん、意味知ってるのかわからないけど、関係ないのに相当ダメージ食らってるし。
「えーっとなになに」
陽菜がさっそくスマホで調べ始めた。さて、チャンプルーはいったい何の意味なんだか。
「“ごちゃまぜ”だって!」
「あーくそ。そっちかよ」
「ぷぷ。なにが“炒める”よ。全然違うじゃない」
「う、うるせーな。っていうか、そもそもなんで出題者もわかんない問題を出すんだよ。スマホ使うとかズルいぞ」
まぁ、解答する人がスマホでググってたらそっちの方がズルいけど、自分の知識の中で出してほしいもんだ。
「なによ、負け惜しみかしら? 和馬らしくないわね」
「はっ! 言ってろ」
「これも作戦よ?」
「作戦?」
「だって和馬のことだから、クイズ出したらヒントを探ろうと私の反応で当てようとするでしょ?」
「ギクッ」
「なら、バレるかもしれない心配より、予め知らない知識から問題を出すわ」
策士策に溺れるとはまさにこのこと。勉強になりました。くそう、くそう。
「あとは適当な相槌で敗北を与えるだけ」
そう言って小悪魔らしくウィンクをする陽菜。可愛いなこの野郎。全てお見通しってか。
しょうがない、負けたんだ。ここは潔く認めよう。んでもってポジティブに捉えよう。
俺のスマホのデータ見せるんだ。それすなわち、美少女に特大のセクハラなんじゃないだろか。「これがおち〇ぽだよ?」「これがマン〇リ返しだよ?」ってデータが消される前にそれを見た陽菜の反応を楽しませてもらうわ。
「ま、不正解でも良かったんだけど、これで安心ね!」
安心って俺のスマホからデータを消せるからそう言ってんのかな? だとしたらお前は小悪魔どころじゃない。魔王だよ、魔王。俺からオカズを根こそぎ奪って楽しいか。
「じゃ、高橋君、次は私の問題だよ!」
「はぁ.....」
半裸冷え冷えジョッキ生卵
全力でいこう。
「ふふ、生卵をプロテインで割ってもいいよ!」
だから勝手にオプション増やすんじゃないよ。
――――――――――――――
はい、和馬の負けー!
ども! おてんと です。
本来は今回で陽菜と葵の分を終わらせようと思ったのですが、文字数が3000超えたあたりで諦めました。ぐだぐだですみません。許してください。
ってことで次回は
それでは、ハブ ア ナイス デー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます