第98話 ピーマンが赤くなるのは照れたから
「よぉーし! 午後も頑張るぞー!」
「おー!」
俺は午前中の中村家喧嘩騒動に終止符を打ち、今は午後の仕事をする予定だ。午前中の草むしりも思ったが、農家の仕事、マジ久しぶりだわ!
なんでだろうな。ここ数日農業やってなかっただけで、この懐かしい感じは。原因はポニ娘と世話焼き娘にある説。
いや、改名しよう。淫魔と、JCビッチだ(笑)。
「......葵さんもよく俺なんかに付き合いますね」
「え?」
そんな張り切っている俺に、横にいる葵さんが仕事を手伝ってくれるという。
ちなみにこの場にいるのは俺と葵さんだけである。葵さんが車の免許を取ったので一緒に軽トラでこの畑に来た。
今朝、あんなことがあったのによくまぁこんなクズ野郎に付き合うよな。軽蔑な眼差しを向けてくれた方がまだすっきりするんだけど。っていうか葵さんのそういう眼差しを見てみたい。
「手伝うもなにも、そもそもピーマンの収穫の仕方わからないでしょ?」
「そうですけど......」
そう、今日はピーマンの収穫をするのだ。初めて収穫するバイト野郎である。
「あ、もしかして今朝の件?」
ぎくり。顔に出ていたかな。
「そんなに怯えるならしなければいいのに」
ってことは葵さんにはバレてたってこと? なにそれ恥ずかしいんですけど。
「......それはどういう意味ですか?」
「まだとぼけるのぉー」
「うっ」
「自慢じゃないけど、高橋君があんなこと本心から言うわけないって私が一番に気づいたと思うよ?」
えっへんと胸を張って自慢する葵さん。シンプルに胸がデカい。揉んでいいってことかな。
「...葵さんには敵いませんね」
「今、絶対胸見てたでしょ?!」
「...葵さんには敵いませんね」
「無理やり話を戻さないでよッ!」
くっ、葵さんが童貞野郎の目の前に巨乳を強調するからでしょーが! 反省して揉ませろ!!
「はぁ......高橋君は相変わらずだね」
「葵さんも相変わらず大きいですね」
「そういうとこだよッ!」
まぁセクハラが休日三日間でどうにかなるわけないでしょ。むしろセクハラが収まったらそれはもう和馬じゃありませんから。
っていうか、俺のせいかわからんけど中村家3姉妹はセクハラに耐性がついてきた気がする。もっとセクハラレベル上げてみようかな。
「では仕事に取り掛かりましょう」
「......。」
「ピーマンの収穫の仕方を教えてください」
バイト野郎を警戒している葵さんである。もう今更なんだし諦めて俺をクビにするか、結婚するかにしてくださいよ。
「えーっとね、まず大きさからね。小さいのはこれくらいで、それ以上の物を採ってね」
「ほうほう」
「たまに虫が食べに来ちゃって穴があいているから、そういうのはどっかにポイしといて」
「なるほど」
俺は葵さんから一通りの説明を受ける。葵さんの説明がわかりやすいから質問することがないな。しいて言うならば、葵さんのスリーサイズが聞きたい。
「質問いいですか?」
「す、スリーサイズは教えないよ?」
「仕事中ですよ? 真面目にやってください。自分をなんだと思っているんですか」
「た、高橋君に言われた......」
ったく、人をなんだと思っているんですかね! 失礼にもほどがありますよ! 反省してこの場で服脱いでリアタイで測らせろ。
「あちらにある赤いピーマンはなんですか?」
「あーそっちのピーマンはね、実は......」
「?」
急に黙り込んでどうしたんですか?
「聞かれて答えをすぐ教えるのもアレだし、ここで『アオイクイズ』だよ!」
「なんですか、そのいかにも偏差値が低そうなクイズ名は」
「.....。」
「わ、わーい! 楽しみだなぁ。正解できるよう頑張るぞー」
「よろしい」
この人も大概頭がアレだよな。初対面の時は頼れる先輩で、優しくて、おっぱいが大きい人という印象だったのに、今ではこうして新人いびりをする葵さんのイメージがダウンしてしまった。
「では問題。なぜ―――」
「ストップ!」
「ちょっ! まだ問題言ってないよ!」
「いや、その前に―――」
「まさか早押し感覚でもう解答する気?! どこまで先輩
現在進行形で俺の方が意地悪されてんだろーが。っていうか葵さん、そんなに先輩風を吹かしたかったんですか。農家でそれは恥ずかしいですよ。
「落ち着いてください。ただクイズするのもアレですし、罰ゲームを加えましょう」
「ご褒美じゃなくてッ?!」
「結果的に自分はご褒美になり得るので」
「絶対やらしいことするじゃん!」
ぐうの音もでない。まさにその通りだ。だってせっかくやるんなら
「なんですか、自信ないんですか? 『アオイクーーーイズ!!』とか言っといてとんだ腰抜けじゃないですか」
「そんな抑揚つけたクイズ名じゃないよッ!」
「やるんですか? やらないんですか?」
「うっ。......でも今回は自信があるからやります!」
自信がなければ吹っ掛けてこないのね。まんま先輩風ですよ。
そしてバイトしに来たんだから働かなければいけないのに、突然、農家クイズをやりだした巨乳長女とバイト野郎。
「では先に罰ゲームを決めましょう」
「た、高橋君は?」
そう言って俺がまだ何も言ってないのに罰ゲームに恐れて巨乳を守る葵さん。お互い、個人で罰ゲームを決めるルールにしたいからな。
なに、そこまで酷い内容じゃないさ。俺だって農作物の知識がそんなにあるわけじゃないから自信がないし、過度な要求はできない。
だから、
「今度、風呂場で自分の背中を流してください」
「高橋君は『自重』の二文字を知らないの?!」
失礼な。これでも譲歩してるし、なにより葵さんのほうが喜んでくれると思ったから提案したのに。お互いWINWINな感じのご褒美にしようと思ったんだけどな。
もちろん、服を着て背中を流してくれるだけでいい。下手に露出して来られたら息子がヘチマになっちゃうしな。
「うーん、まぁ高橋君の罰ゲームはなんでもいいか。当てられるとは思えないし」
「......ほほう」
珍しいな。普段、愚息ばっか煽ってくる巨乳さんが、俺自身を煽ってくるなんて。伊達に名前が
「私の罰ゲームはね......高橋君一人でツイスターゲームをしてもらおうかな!」
一人でツイスターゲームは本当に罰ゲーム。
なんも楽しくないし、赤の他人がそれを見たら哀しくなるぞ。「あの人、頭大丈夫かな」ってさ。
「もちろん、やってもらうんだから半裸ね!」
絶対、筋肉ウォッチが目的じゃん。ツイスターゲームやらせて、いろんな角度でバイト野郎の筋肉を楽しもうってか。変態じゃねーか。
あんたも大概アレだよな。人のこと言えないよ。
「ふふ、罰ゲームを聞いて怖気づいてしまったかなぁ?」
ええ、はい。未だドン引きという気持ちが抑えられませんよ。よくそんな欲望丸出しな案を胸張って言えましたね?
「......そうですね。少し罰ゲームが怖いです」
「え」
「ってことで今更ですがクイズを受けるのはやめようかな」
「ちょちょちょちょ!」
「どうしました?」
「今更そんなのあんまりだよッ!!」
ソロ半裸ツイスターゲームの方があんまりだわ。
「でも罰ゲームがなぁー」
「わ、わかったわかった! じゃあ高橋君の罰ゲームを2日間するというのはどうかな?!」
おっ。それは魅力的な提案ですね。とりあえず1日目にどんな感じか試しにやってもらって、二日目はソーププレイを所望しよう。問題は葵さんがどこまでオプションをつけてくれるかだな。
っていうか、そこまでこの問題に自信があんのか。自分が負けるとは思ってないのかな。
よし、仕方ない。
「了解です。受けて立ちましょう」
「ふふ。最近、スマホのカメラ機能も使いこなせるようになったからね! 高橋君、覚悟して!!」
「......。」
勝手に写真撮るとか罰ゲーム増やしてんじゃねーよ。許可した覚えねーぞ。
こうして、いつになっても仕事を始めず、クイズをやりはじめたバイト野郎と巨乳長女であった。
―――――――――――――――
ども! おてんと です。
少し前置きが長くなりましたが、次回は『第1回アオイクイズ』を開催します。
読者の皆様もどちらが勝利するか予想しながらお楽しみください。
それでは、ハブ ア ナイス デー!
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