祝10000PV特別回!! 一まんこのトウモロコシ

おはようございまーす!! おてんと です!


を記念に書きました。


ふふ。今回は恒例の『1000PV特別回』に次ぐ、『10000万PV特別回』ですよ? 今更ですね。本当に許してください。


あとすっごい長くなったので読むの疲れるかもしれません。過去最高記録の文字数です。


それでは、ご笑納ください!



―――――――――――――――



 「うっ。.......ここは?」

 「うぅ。............え、えーっと」

 「いつつつつ。なんなの急に」

 「......あれれ? ここどこ?」

 「............んなぁぁぁぁあああ!! 善戦してなのにぃ!」

 「.....おや? 急になんだい、ここは」


 俺を最初に葵さん、陽菜、桃花、千沙、美咲さんの順で目が覚める。


 俺たちは見渡すと全く見覚えのない場所に居た。


 「どうやら俺たちは異世界に飛ばされちゃったらしい.....」

 「何言ってるの和馬君.....」

 「ここ、トウモロコシ畑じゃない」

 「ねぇねぇ。私以外、皆は農家で働いているけどなんで私もなの?」

 「本当ですね。よく似合ってますよ」

 「あ、でもワタシの作業着なんか胸辺りが窮屈だ。チャック開けよ」

 「自分もなんか股間がパンパンになってきました。いてッ」


 そんなことを言ったら千沙が肘打ちしてきた。


 そう、陽菜が言った通り、ここは見渡す限りの広大なトウモロコシ畑だ。なんだここ。端っこが見えないぞ。


 んだよ。バイト野郎はさっきまで裕二にナンパの仕方を教えてもらってたのに。


 「あいたっ!」


 そんな訳のわからない状況の中、俺の頭にある物が落ちてきた。


 「なにこれ?」

 「巻物みたいね」

 「口寄せできるかな?」

 「桃花さん、まずはチャ〇ラを練らないと」

 「なんて書いてあるか気になるね」


 誰一人として心配してくれないんですけど。


 ってか、空から得体の知れない巻物が降ってきてよくすぐ広げられるよね。


 「なになに“トウモロコシを“一まんこ”収穫するまで帰れま天!”?」

 「い、10000じゃなくて?」

 「よし、よくわかりませんが、絶対やりましょう。女性が居ればいい話ですよね」

 「兄さんはなに収穫する気ですか.......」

 「うっわ、きっも。童貞のくせに」

 「ワタシはどっちでも構わないけど」


 ど、どどどど童貞ちゃうわ!


 というか、以前も似たようなことがあったような.......。ま、考えても無駄か。


 「で、どうします? ヤります? じゃなくて、やります?」

 「和馬君はちょっと黙ってて」

 「コレ、やらないと脱出できないのかしら?」

 「ええー。10000本だよぉ? 素人である私でもわかるくらいバカみたいな量じゃん」

 「10000本どころか、1本も収穫したくないですね。働きたいくないです」

 「まぁ、この天気だ。トウモロコシ畑というだけあって、体感温度は夏のそれだよ」


 たしかに夏みたいな気温だ。立っているだけで汗が出てくる。こんな中、道具無しで仕事なんてとてもじゃないができないそうにない。熱中症対策は最低限したいところだ。


 そんなこと思っていたら、


 「あ、なんか空にますよ。ほら」


 本当だ。千沙に言われて空を見上げてみたらなんか箱がたくさん浮いていた。


 「.......アレ、ここに落ちてくんじゃね?」

 「ちょっ! 散開よ! 散開!」

 「あわわわわ!!」

 「ちょっと千沙さん遅いですよ!」

 「ふふ。50メートル走の記録更新しました。12秒です」

 「はは。ワタシならその時間で100メートルいけそう」


 すご。なにその自信。アスリートやん。


 「ってそんなこと言ってる場合じゃないって!」

 「きゃっ!」


 俺は可愛い妹を担いで走ってその場を去ろうとした。


 もちろんお姫様抱っこで。その方がかっこいいじゃん。俺は高橋 和馬、夢見る童貞メガネ野郎である。


 「に、兄さん.....」

 「惚れたか? やっと惚れてくれたか?」

 「いえ」


 手短に“いえ”か.....。


 「あ、あいたたたたた! 和馬! 足挫いちゃったわ! 私も運んで!」


 嘘くせぇぞ、馬鹿野郎! お前のは絶対わざとだろ!


 そんな感じがするもん! 淫魔だもん!


 「あ、じゃあ私も」


 桃花ちゃん、そんな「お冷ください」感覚で身を危険にさらさないで?


 「良い機会だし、ワタシも足を挫いたことにしよう。バイト君、早く抱っこして」


 会長、あんたそろそろ1回死んだ方が良いですよ。ツッコむのも面倒くさい状況です。


 「わ、私は大丈夫だよ? あ、でも、運んでくれるなら抱っこしてほしい.....かも」


 可愛いな、畜生。


 でもね、あんたらの頭の上には得体のしれない箱がたくさん浮いてるの。落ちてきたら死ぬかもしれないんだよ? 運んでもらいたいからってそこに居座るんじゃないよ。


 「あ、落ちてきました」

 「「「「散開散開散開!!」」」」

 「.....。」


 どうでもいいけど、3回言ったね。どうでもいいけど。


 急いでその場からバカ娘4人は怪我することなく、無事離れることができた。


 落ちてきた物を見ると、収穫したトウモロコシを入れるであろう大量のコンテナと、肩から下げる収穫籠、冷たいドリンクがたくさん入ったクーラーボックスなどがあった。


 あと地味に虫よけスプレーとか蚊取り線香があった。この時期だもんね。そりゃあ蚊くらい飛んでるか。


 「「「「はぁはぁはぁ」」」」

 「で、どうする? これやんないと帰れないよな」

 「嫌ですよ。面倒くさい」


 我儘言わないでよ。


 訳もわからずこの場に転移させられちゃったけど、冷静に考えれば日頃の仕事内容とあんま変わんないよ。量が量なだけだ。


 「一万本、つまり1人当たり約1666、7本ですか」

 「無理無理。私、こんな暑い中働きたくなーい」

 「桃花、あんたねぇ.....。まぁ、でも多すぎよね」

 「でも、収穫しないと帰れそうにないんでしょ?」

 「あ、そうだ。ワタシたちは1000本で、バイト君は残りお願い」


 ねぇ、後輩苛めて楽しい? 俺だけで5000本採れって、それなんの拷問よ。


 「そ、それは流石に和馬君が可哀想だよ」

 「あ、とりあえずお弁当があるみたいだから食べましょ」

 「賛成。お昼時だったよね。ここに来たの」

 「そうですね。まずは腹ごしらえをしましょう」

 「なんかピクニックみたいだね。ワクワクしてきた」


 よく食べれるね。毒入ってるとか気にせんのか。まぁ見た目は駅弁みたいだから警戒しないか。


 くそ。1人1600本以上収穫しろって地獄じゃないか。


 こうして俺らは弁当を食べた後、収穫しないとここから出られないという結論に至ったため、これから日が暮れるまでトウモロコシを収穫することにした。






 「トウモロコシの頭に生えている髭が茶色になっているものを収穫してね?」

 「ほうほう」


 「それとちゃんと実が茎から外に反れているのを採るといい。実がなっている証拠だ」

 「ふむふむ」


 俺は現在、巨乳先輩方にトウモロコシの収穫の仕方を教えてもらっているところだ。


 二人の先輩から交互に教えてもらえるなんて贅沢ですね。


 「まぁ、巻物には収穫基準が書いてなかったけど、どうせなら適切なタイミングで良い物を収穫したいよね」

 「ええ。なんでも採れば良いってもんじゃないですよ」


 「ちなみに採り方はちゃんとくきを握って勢いよく下に向かって捥ぐんだ」

 「なるほど、勢いが大切なんですね」


 葵さんから教わるのはいつものことだけど、会長からも教えてもらうなんてなんか新鮮だな。


 そんでもって葵さんは暑いからか、胸元を開けてるから谷間が絶景なんですけど。


 「ちなみにトウモロコシの頭ら辺を触ってみると実がちゃんと粒々しててふっくらしていることがわかるよ。バイト君も触ってみて」

 「本当だ。ってことは、甘くなっている証拠ですね」

 「.....。」


 「そ。夜間にじっくり糖に変えていくんだ」

 「朝採りが良いってことですか―――」

 「ちょ、ちょっと、美咲ちゃん! ここはいいから美咲ちゃんは他所で収穫しててよ!」


 なんか葵さんが大声を出してきた。


 「どうしたんですか? 急に」

 「いやいや、和馬君に教えるのは私だけで充分だよ!」


 「なんで先輩が教えること前提なんです?」

 「そ、それは私が和馬君の指導係的な立場だからで.....」


 「へぇ。ここは中村家せんぱいんちの所有地じゃないんですから、そんな堅いことはどうでもいいと思いますけど」

 「いーや! 重要だね! 美咲ちゃんより上手な教え方に自信があります!」


 自分でそれ言っちゃいます? いや、実際に上手いですけど。俺的にはどっちもどっちです。


 「はは。というか、転移させられた人員の中で先輩がこの業界一番の熟練者なんですから、教えるより収穫した方が効率的ですよ」

 「なんだからそんな変わんないよ!」


 言っちゃったよ。さっき農家としての心構え的なこと言ってたけど、そんなのどうでもいいってか。


 「あ、もしかして先輩、バイト君と二人っきりで仕事したいからってワタシを遠ざけようとしてます?」

 「そ、そそそそそそんなわけないじゃん!」


 「え、じゃあ他にどんな理由があります?」

 「だから先輩として―――」


 「先輩として一緒に仕事しようと?」

 「っ?!」


 ............んん? もしかして俺の視線バレてた?


 「バレバレですよ。わざとですよね? たしかに暑いですし、胸元を開けたい気持ちはわかりますが、彼の視線を気にしすぎです」

 「な、ななにを根拠にッ!」

 「そりゃあワタシも同じ巨乳ですし。バイト君の舐め回すような視線が見てて楽しいので普段やってますから」


 ああ、なるほど。普段のアレってわざとなんですね、会長。ありがとうございます。


 そんな気がしてたし、罠だろうって感じてたけど、それでも俺はずっと会長の谷間を目に焼き付け―――見守ってたな。ありがとうございます。


 「きゃっ?!」


 会長は隙をついて葵さんの後ろに回り込み、彼女の豊満な双丘を鷲掴みした。


 「あッ。な、なにしてるの?!」

 「ふふ。コレでバイト君を誘惑してたんでしょう?」


 「和馬君が勝手に見てただけで―――んんッ!!」

 「嘘つかないでください。どうせ、あと少ししたらこの谷間にトウモロコシを挟む気だったのでしょう?」


 「そ、そこまでは考えていなかった―――んぅ!」

 「ふふ。エッチな先輩だ。ココは正直にナニか挟みたいってオネダリ汁出してますよ」


 うっわ、えっっっっろ。


 すっげ。なにあれ。柔らかい島が変形し続けてるぞ。先っぽから噴火しないかな。俺のトウモロコシ挟んでくれないかな。ぐへへ。


 ってか、“オネダリ汁”って何? こっちは早くも先走り汁がこんにちはしてるってーの。


 「直に揉んであげましょうか?」

 「あ、いや........そこはらめぇッ!」

 「........。」


 あっちに行こう。ここは教育上良くない畑だ。







 「さて、集合場所からそんなに離れていないし、ここら辺でトウモロコシを収穫するか」


 先程、巨乳長女と巨乳会長にトウモロコシの収穫を教えてもらったので、もう一人で収穫できると判断し、バイト野郎はここに来たのだ。


 「疲れたー」

 「我慢しなさいよ。早く終わらせないと帰れないわよ」


 お。この声は桃花ちゃんと陽菜じゃないか。なんだ、この近くで収穫してたのか。


 「よっ」

 「あ、和馬」

 「あ、お兄さん」


 よし、このJC2人と仕事しよう。孤独は寂しいよ。


 「葵さんたちと一緒じゃなかったっけ?」

 「ああ。なんか18禁になっちゃったから逃げてきた」

 「外で何シてたのよ?!!」


 「どうせあの“バカい長”がなんかしたんでしょ」

 「桃花ちゃんは本当に会長が苦手なんだね」

 「苦手なんてもんじゃないわよ。私と居るときはしょっちゅう悪口ばっかだわ」


 そう。最近知ったのだが、現役女子中学生である桃花はあの巨乳会長が大の苦手なのだ。


 “嫌い”の域にいっていると思った方がいいかも。


 「で............お前らまだこんな量しか採ってないのかよ」

 「「まぁね!!」」


 胸張って息ぴったりだな。ポニーテールの子は胸が申し訳ないくらい絶壁だけど。


 俺は二人が採ったトウモロコシのコンテナを見てため息をついた。マジか。ノルマの半分どころか、10分の1も収穫してないじゃん。


 「おいおい」

 「だ、だって桃花が全然やる気出さないんだもん!」

 「私のせいにするの?! 蚊が飛んできてウザいんだもん!!」


 蚊が近くを飛んでいると羽音でイライラするのはわからないでもない。


 「はぁ。虫除けスプレーとかあっただろ」

 「私はしたわよ?」

 「あれくっさいじゃん。お兄さんの部屋よりはマシだけど」


 喧嘩売ってんの? イカ臭いのは思春期男児として皆通る道だからな。


 「か、和馬、私は嫌いじゃないわ。和馬の家の中の匂い」

 「「......。」」


 この淫魔がッ。


 「ほら。俺、一応持ってきたから使って」

 「そんな臭い液体をJCにぶっかけるつもり?!」


 言い方。なんなのこのJCらは。


 「陽菜、こいつを抑えてろ」

 「わかったわ」

 「あ、待って。その前にム〇持ってきてない? 刺された所を〇ヒ塗って欲しいんだけど」


 ああ、刺されたのね。薬塗らないと痒いのか。


 「自分で塗れよ。はい」

 「背中ら辺なの! 手が届かないって!」


 そう言って後ろを向いた桃花ちゃんは作業着を少しはだけて俺に綺麗な肌を見せてきた。


 うなじえっっっっろ。


 「ちょ、ちょっと桃花!! 何してんのよ?!」

 「え、お兄さんに塗ってもらおうかと」

 「絶対わざとだろ! クソ! 俺の股間にあるム〇じゃ駄目かッ?!」


 「駄目に決まってんでしょ!! 貸しなさい! 私が塗るから!」

 「お兄さん必死すぎww」

 「退いてくれ陽菜! 脱がし―――じゃなくて塗らせて!」


 桃花ちゃんのせいで、収穫せずに騒ぎ始めてしまった馬鹿3人である。


 「あ、思ったんだけど、私の痒い所をお兄さんに塗ってもらって、陽菜がお兄さんのパンパンに腫れた所に薬塗るってどう?」


 下ネタじゃねーか。


 俺の股間は痒くて腫れたんじゃねーよ。お前のうなじ見て興奮したんだよ。


 「な、なるほど......」

 「馬鹿。なに真に受けてんだ」

 「和馬聞いて。唾液にはム〇と同じ成分があるんだってテレビで聴いたことあるわ」


 んな成分ねーよ。どこの局だ、その情報。ただのフェラだよ。


 「こ、こら。手離せ!」

 「抵抗しないでよ!」

 「あはははは!」


 俺はチャックを下げようとしてきた陽菜を全力で振りほどき、虫よけスプレーやかゆみ止めを投げつけてその場を後にした。


 「ちょっと和馬! どこ行くのよ?!」

 「......なんで陽菜は可愛いのに振り向いてくれないんだろうね?」


 「私が聞きたいわ」

 「胸かな?」


 「......。」

 「ぐ、ぐるじいでしゅ! ごべんなざい!」


 遠くでJC2人が何やらおっ始めたが詳細は知らない。きっと桃花がなんか言ったのだろう。


 ......陽菜の愛は重くて胃もたれしそう。絶対セフレに向いてないよ、あいつ。セフレ作ったこと無いけど。







 「はぁはぁ。あっつぅ。ここまで来たらさすがに誰も居ないだろうけど、この炎天下の中、孤立するのはマズかったかな」


 陽菜と桃花からかなりの距離を歩いてきたが、結局は果てしないトウモロコシ畑。どこまで続くんだって話。


 「皆と離れ離れになっちゃったかな。一応、皆携帯持っていることだし、GPSで居場所わかるから大丈夫だと思うけど」


 ちなみに皆が所持していた携帯は、となら連絡ができたり、GPSなどのある程度の通信はできるが、外部の人との連絡が取れないという“ご都合スマホ”と化してしまった。


 「異世界に携帯ごと飛ばされたんだったらスマホ太郎くらいのスペックが欲しいわ」


 圏外じゃなかったから家族とか警察に電話できるかなっと思ったけどそこは甘くなかったな。


 それにしても静かだな。


 あ、俺が持ってるのって持ち運び用の収穫籠だけじゃん。コンテナが無いとたくさん収穫しても意味無いじゃないか。


 「あーくそ」


 まだ日は沈んでない。さすがに作業開始から時間が経ったからか、夕暮れと行かなくてもそこそこ明るくなくなってきた。


 「戻るか―――」

 「お兄ちゃああああん! うわぁああん!」

 「っ?!」


 急に近くで悲鳴が聞こえたと思ったら千沙の声じゃん。俺は聞こえてきた声の方へ足を運んだ。


 「ここどこですかぁ! 皆ぁ! お兄ちゃああああん!」

 「....。」


 え、迷子?


 いやいや。迷子な訳無いよな。だって皆携帯持ってたし、GPSで誰がどこに居るかわかるアプリ入れてるし。


 「うわああああん!!」

 「..........。」


 とりあえず、居たたまれないから号泣している千沙のとこへ行こう。


 「もしかして、私、このまま一生、トウモロコシ畑で―――」

 「アホ言ってる場合か。何してんのお前」

 「っ?! お、お兄ちゃ―――兄さん!!」


 千沙が俺を見つけた瞬間、歓喜とは裏腹に先ほどまでの人様には見せられない羞恥心いっぱいの表情となる。


 「『お兄ちゃん! うわあああん!』だって。ぷぷ」

 「くっころ!!」

 「おーよしよし。1人で寂しかったでちゅね?」

 「うわあああん!! やめてくださいぃぃぃ!!」


 はは。日頃の仕返しである。楽すぃ。


 しばらくして千沙は落ち着きを取り戻したので、俺は事情を聴くことにした。


 「このトウモロコシ畑、本当はただ広いだけでちゃんと限りがあるのかなと思って収穫より探索をしていました」

 「で、本音は?」


 「.........。」

 「お前の兄ぞ? 千沙がそんな率先して行動するなんて有り得ない」 


 「.....私、仕事したくなくて。それを他の方に見られたくないので見つからないようにここまで逃げてきました」

 「うんうん。正直に言えて偉いね」


 それですることもないし、暇だからスマホでゲームでもしてたんだろう。気づいたら充電切れ。皆と連絡取れる手段なんてなし。


 控えめに言って馬鹿ですね。ええ、はい。


 「さ、兄さん。私を皆さんのところまでお願いします」


 なんでここまで悪気無く胸張って言えるんだろう。サボってたくせに。ちっぱいのくせに。


 「はぁ。叱るのも馬鹿馬鹿しい。戻るぞ」

 「ええ。.....ん」


 そう返事をした千沙は俺に片手を差し出してきた。


 「え、何?」

 「で、ですから!!」

 「ああ、喉が渇いていたのね。はい」

 「.....もういいです。ふん」


 千沙は俺を睨んだ後、渡した水筒に入ったスポドリを飲んだ。


 いや、喉渇いてたんじゃなの? 暑いから飲みたいのかと思ったわ。


 「兄さんって乙女心を全然わかってないですよね」

 「なんだお前。ああーはいはい、ごめんね。さすがに口付けてない水筒は持ってきてないわ」

 「そ、そうじゃなくて.....」


 何かあんならはっきり口で言えよ。


 お前、俺が偶然ここに来なかったら一生トウモロコシに囲まれて生きていくしかなかったんだぞ? トウモロコシをディ〇ド代わりにオ〇ニーするしか楽しみ無いんだぞ?







 「あ、皆さん居ますね」

 「ちょうど集合時間だったからな」


 俺と千沙は集合場所まで向かったが、すでに皆はそこに居た。


 作業開始する前に事前に集合場所と集合時間を決めてたからな。


 ちなみに場所はどうやって決めたかというと単純にある程度の広さを確保するため、トウモロコシを切り倒して空き地を作ったのだ。


 と言っても、大体の場所は各々で把握しておかないといけないんだけど。


 「あ、和馬君、千沙!」


 葵さんが一番に俺たちに気づいて声をかけてくれた。


 「すみません。不出来な妹を迎えに行ってました」

 「アレ言ったら兄さんのトウモロコシ、ちょん切りますから」

 「可愛いでしょう! 自慢の妹なんですよ!」


 怖っ。


 「ねぇ見て。さっき巻物の内容を確認したら.....」

 「「「「「っ?!」」」」」


 桃花ちゃんに言われたので俺たちは巻物を見た。そして全員驚愕した。


 だってそこに記されているは―――


 「「「「「“クエスト クリア”?!」」」」」

 「なんでだろうね」


 “トウモロコシを一まんこ収穫するまで帰れま天!”という文の上からスタンプでも押したかのような“QUEST CLEAR”と赤く記されていたのだ。


 おいおい、10000本どころか半分も採ってないぞ。


 「どういうこと?」

 「さぁ? バグってんじゃないですか?」

 「まぁでも、これでようやく帰れるってことよね」

 「やったね! 当分の間はトウモロコシ見たくないなぁ」

 「同感。あ、でも焼きトウモロコシは食べたいな」


 皆、もう脱力しきっちゃってるよ。本当か、コレ。


 あ、もしかして........。


 「兄さん」

 「ああ、もしかすると......」

 「「「「?」」」」


 優秀な妹は誰よりもいち早く気づいたみたいだ。


 「もしかして巻物に書いてある“一まんこ”って............じゃないですか?」

 「「「「えッ?!」」」」

 「そう捉えるなら、トウモロコシ数十本採れば済む話だな」


 まーじか。


 そんなことある? 普通、どう考えても本数でしょ?


 「正直、“一まんこ”って書いてあるからてっきり10000本の下ネタかと思ってましたよ」

 「「「「「......。」」」」」


 千沙の一言に誰も返せない。


 だって皆、ただの下ネタだと思ってたから。


 「ま、まぁ、クリアしたなら結果オーライじゃない?」

 「そうですね」

 「無駄に収穫しちゃったじゃない」

 「ああー、でもトウモロコシ1本にどれくらい粒があるか気になるよね?」

 「一般的に品種によって違いますが、ここのトウモロコシは約500粒ありました」

 「? まるで数えたかのような口ぶりだね」


 そりゃあこいつサボってましたもん。ゲームして充電切れたから粒でも数えてたんでしょ。


 そう考えるとマジでクソ野郎だなって思えてきたわ。


 「「「「「「......オチが最悪」」」」」」


 10000本採るよりかは全然マシだけど―――


 『ジリリリリリリリリリリリリリリ!!!!』

 「うおっ?!」


 何事かと思って身体を起こしたら、ここが見知った部屋だと俺は気づいた。


 というか、俺んちか。


 「......夢かよ」


 夢で良かったけど。


 「んんー!! さーて、今日も一日頑張るか!!」


 変な夢見たけど、今日も田舎は平和である。



――――――――――――――――――



長かったですよね。いつもの3倍ですもん。許してください。


少しでもほくそ笑んでいただけたのなら幸いです。


これからもよろしくお願いします!


次回は本編です。


それでは、ハブ ア ナイス デー!!

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