第35話 助けて、筋肉!!

 「どうする? ここでヤッとく?」

 「いや、とりま車に乗せ―――」


 「いや、俺はお前らをこれからヤるわ」


 「「は?」」


 はは、チャラ男どもの顔ウケるんですけどー。


 「なんだ、てめぇ」

 「殺すぞ?」

 「....できんの? この筋肉量見て?」

 「「..................。」」


 黙るチャラ男。いや、男2人がかりなら俺を撃退できると思うけど、お前ら、なんか細っちいじゃん。なんか俺1人でも余裕じゃね?


 身長差も、なんか最近、成長期をむかえた175近くある俺と変わんないし。


 「こういうのもなんだけど、俺、結構強いよ? 空手と柔道やってたし」


 こういうのもなんだけど、俺、喧嘩したことないよ? 陸上部しかやってません。


 「黒帯だし」


 黒というか、真っ赤なウソです。


 「あ、あの余計なお世話です!!」

 「「「え」」」


 息ぴったりの俺とチャラ男の3人。....なんで?


 「ほら、私...............よいしょっと。このようにありますから」

 「「「...............。」」」


 そう言って、バッグから黒い警棒をコンパクトサイズから50センチもないくらいの長さに伸ばして、自慢げに言う美少女。...............いや、だからなんで?


 「ふふ、電話で警察を呼ぶ? 馬鹿ですか? そんな時間に余裕ないですし、なによりスマホは電池切れです」

 「「「..................。」」」


 得意げに警棒をぶんぶん振り回して、肩を温める美少女。そして次の瞬間、


 「あいたっ!!」


 警棒を振り回して、壁に当たり、手に振動が伝わって、痛がる美少女。そしてその衝撃で手放した警棒。...............え、なん―――馬鹿なの?


 「..........お、おい、取り上げろ」

 「あ、あぁ」


 そして、手から落とした警棒を拾うチャラ男。そして俺に振り返り、警棒をパシパシと手で煽るチャラ男。


 「......で、筋肉がなんだって?」

 「................。」

 「ちょっ! 返してください!!」

 「き、君はこっちで大人しくしてよーねぇ」


 お前、もう、ほんっと馬鹿なの?!! なんで、警棒を見せびらかすの? なんで手放すの? なんで相手パワーアップしてんの?


 「おらっ!」

 「あぶなっ!!」


 ギリギリで回避する俺。いくら筋肉あっても警棒で叩かれたら、普通に大ダメージだし。


 原因の彼女はというと、


 「え、えーっと頑張ってください!」


 この投げやり感。もういいんで。この子一緒に犯しません? やっぱり3人で仲良く輪姦しましょ?


 「おらおら! さっきの威勢はどうした?!」


 彼女から奪った警棒で俺をどんどん攻めてくるチャラ男野郎。


 「危なっ! それ警棒!! 自分を守るための棒!! そんな棒より、肉棒使ってあの子犯しましょ!!」

 「ちょっ、最低です!! 助けに来たんじゃないのですか?!」

 「1分前まではな!! お前のせいだよ!!!」


 俺の回避スキルが高いのか、まったく警棒による攻撃が当たらない。と、そこへ。


 「君たち何してるんだ!!」


 警察のお出ましである。


 「やべっ、逃げんぞ!!」

 「あ、ああ!」

 「あっ待て!!」


 警察は4人いて、そのうち2人が逃げたチャラ男どもを追いかけていく。残った2人が俺たちに声をかける。


 「え、えーっと君! 逃げずに観念したな。署までご同行願おうか」

 「えっ俺?」

 「君以外いないだろ」


 あっ俺上半身、裸じゃん。これはまずい。普通にチャラ男どもと同じ扱いになる。


 「ちょっ! 俺はこの子を助けようとしたんですって」

 「上半身裸で?」

 「筋肉見せれば、相手が怯むかなって!」

 「い、いいから、署までとりあえず来なさい!」


 俺は、美少女に助けを求めた。なんでだろう、助けに来たのに、助けを請う状況って。


 「お、お前もなんか言ってくれ! このままじゃ―――」

 「その人にも犯されそうになりました」

 「おまっ」

 「ほら、こっちに来なさい!!」


 この野郎! 覚えてろよ!!


 「くそう.........くそう.........ぐすん」

 「「..................。」」


 人生初のパトカーに乗る。


 まぁ、でも当初の目的は達成したし、あの子が助かってよかった。


 ..................くっそ!! やっぱ視姦してればよかった!!

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