第二章 青春は邪魔ですか?

第6話 美少女を収穫(犯罪ではありません)

 「草うざ」


 天気は晴れ。湿度は良好。昨日雨降ったんだけど俺の特異体質:晴れ男 のおかげかここんとこ働く日は晴れである。稼げるしいいんだが.......。


 「葵さ~ん(泣)」


 前回の続きでキャベツ畑の草むしりに俺は奮闘している。前は葵さんとお話しながらやっていたのでやっていたので苦痛でも何でもなかった。


 だが1人でやるとなると草むしりは精神的に来るものがある。


 俺はポケットの中にしまってあるスマホを見る。時間は13時55分。開始が13時からだから......まだ1時間も経ってない。泣きそう。


 またキャベツ畑周囲の一部の土が昨日の雨のせいかぬかるんだ状態のところがある。膝近くまである長靴を履いてるんだけどここ踏むと結構沈んで身動きといりづらい。雇い主曰く、堆肥がたくさん入っていると雨水が抜けにくくそうなるらしい。


 と、早くも1時間経たずに音を上げるあげるバイト野郎の所へ"雇い主"がやってきた。


 「お疲れ。ちょっと暑いけど頑張ってね。これお茶。飲みながらやって」


 そう言い、雇い主は俺にキンキンに冷えた500ミリリットル入りのお茶をくれる 。普段血も涙もない人だと思ってたのに、ギャップ萌えしますよ。冗談8割5分ですけど。


 ちなみにもう下の名前とか聞くタイミング失った気がするので中村(おじ)さんは"雇い主"って呼んでおく。まぁ大体、話しかけるときは「あの~」とか「すいません」で済むしな。日本語って便利。


 「いや~たまに春でも気温差で熱中症になる人いるから気をつけなよ。労災とか雇用主こっちとしてはシャレにならないからね~」


 なお、保身による親切な模様。1割5分の純情を返してくれ。


 「じゃあ、あと2時間半頑張ってね」


 また1人での作業に俺は戻る。遅くてもできるだけ草は残さず綺麗に仕事をこなしてみせるぞ。なんせ葵さんが丁寧に教えてくれたからな。これで雑な仕事では嫌われてしまう。頑張ろ。




 草をむしること開始から3時間が経つ。当初の予定では終わり時間は16時半だがなんと30分越して17時になるところだ。


 雇い主はバイト野郎のこと忘れているのだろうか。


 ただ驚くのはなんと30分越しても草むしりをずーっとやっていた俺の集中力である。その成果はなんと広大なキャベツ畑の草むしりを端から端まで終えたのだ。まぁ昨日大半を葵さんとやったおかげだけど。


 当たりを見渡す。雇い主はおろか人の気配もない。いつ迎えに来てくれるのだろうか。やること何も無いしなー。電話して見ようかと思った矢先―――


 「あんた誰ぇ? うちの畑でなにしてるのよ?」


 会ったことない見知らぬ少女と出会った。

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