ちきゅう

彼女は星が好きだった

きっと今は、地球を眺めているんだろう


いや、眺めてなんか、いない


彼女が最も憎んでいたのは彼女自身

他人を傷つけるくらいなら

自分を傷つけよう

そう言って笑った彼女は

羽を広げずに飛んだ


でも、そうさせてしまったこの世界を

憎んでいたから死んだんだ

だから、地球なんて眺めてなんか居やしない


そっぽを向いてアルタイルと向かいあって

自分の鼓動を感じているのかも知れない

胸に手を当てて眠るのが好きだったから


わたしのぶんまで生きてとのこして

飛んだ彼女は

私のほうなんか見ずに

じっと星を眺めている


太陽が隠れたあの日

彼女が一瞬こちらを見た

真っ黒な地球を目にして

あのときよりもすてきな顔が見えた気がした

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あこがれ 花木 実果 @tmy6901134

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