(11)月下凶弾
「なんだか、浮かない顔してるね」
上陸後、霧峯は私の顔を
「なあ、霧峯、人に向かってナイフ投げる時ってどんな感じだ」
「どんな感じかって、うーん。やっぱり、これで終わって、って思うかな、いつも」
「終わって、ってどういうことだ」
「だって、そんなに戦いたいわけじゃないから、何もなくて終わってくれたらそれが一番でしょ。私も相手の人も無傷で終わるのが一番だし」
こういう時、少女の
「でもさ、終わるっていうことは相手を殺してしまう可能性もあるっていうことだろ。それはいいのか」
「それは相手で決まるかな。だって、敵が私達を殺しに来てるのに手加減してたら、殺されちゃうんだよ。そうなったら、戦いを止められなくなっちゃうから最悪の時は仕方ないんじゃないかな」
少女の
「ん、何だか」
ふと、霧峯の足が止まる。
「まさか、銃弾」
直感が身体を動かす。
「刃を返す究極の殻を。
霧峯に飛びつく。
「全力展開、円陣、
「黄金の
「霧峯、大丈夫、か」
「わ、私は、だいじょうぶ。でも、博貴が」
左肩の中に深々と銃弾の突き刺さっているのが分かる。
「博貴、ちょっとだけガマンして」
少女が
「そう、か。刃が技令でできているから、形状を変えられるんだな」
「うん。でも、ごめんね。痛いよね」
「いや、これくらいなら大丈夫だ」
少女に
「それより、敵はどうなった。集中できないから、技令が追いにくい」
「気配が消えたから、たぶん、だいじょうぶじゃないかな」
「そうか。来る方向に
「ごめん、狙われてたのって、私なんだよね。分かってたんだよね」
霧峯の左手に
が、目の前で
「霧峯、これくらいなら大丈夫だ。痛いのは痛いが、回復技令で回復できるし、命に別状はないからな」
言いながら、自分の肩に回復技令をかける。
「バカ、そんな笑顔でムチャしないでよ」
「ま、別に大きなことにならなかったんだからいいだろ。それに、霧峯に当たっていれば即死だったかもしれないんだからな。うん、霧峯が無事でよかった」
私の一言に、少女が笑う。
涙を拭いながら、少女は口を開いた。
「ごめんね。でも、やっぱり博貴ってちょっと変だよね」
「変って、そんなことを笑いながら言われてもな」
こう言いながらも、どこか少女を
「しかし、
「それは分かんないけど、
「確かにな。さっきも、攻撃までの間に標的の方向を考えて行動しただけだからな。
左肩の鈍い痛みが
「そういえば、漁港跡地から出ていた技力も感じられなくなったから、内田たちも勝ったんだろうな。さあ、帰るか。もう寒くて
「うん。でも、ホントに博貴って寒いの苦手だよね」
骨に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます