第二章 刺客に四角に死角
(12)迷い子
なぜ、こうも最近の自分はおかしな状況に巻き込まれてしまうのだろうか。
日曜日ということで例の
「ねえ、だいじょうぶ」
霧峯の問いかけに女の子が驚いたような顔をしてこちらを振り向く。見れば、透き通るような白い肌に穏やかな茶色の髪に瞳を
「あれ、もしかして外国の子? 日本語、だいじょうぶ」
「あ、は、はい。だいじょうぶです」
女の子が
「あの、その、道に迷ってしまって。その、初めてで」
「うんうん、そうよね。私、霧峯瑞希って言うんだけど、お名前はなんていうのかな。どこの国から来たの」
「え、えと、アメリカから来た、エミリー・キルキスって言います」
ニコニコと輝く少女に戸惑う女の子。その対比がどこか
「で、エミリーはどこに行こうとしてたんだ。この近くからなら
「いえ、あの、
「
むしろ、方角を完全に間違っている。この子が向かおうとしていたのは明らかに山側であり、
「じゃあ博貴、案内してあげようよ。どうせ暇なんだし、いい散歩になるんじゃない」
霧峯も同じように感じたのか、私に了承を得ることなく、エミリーに提案している。無論、反論するつもりもないのだが。
「そうだな。このままだと、エミリーが登山してしまうことになるかも知れないしな」
「うんうん。じゃあ、エミリーちゃんはそれでオッケーかな」
突然の申し出にエミリーはやや戸惑っていたが、少女のどう、という笑顔の問いかけに静かに一度
「あ、あの」
「うん、どうかしたの」
「え、えと、お、お兄さんのお名前は」
失念していた。隣で少女が
「私は二条里博貴。よろしくな、エミリー」
「はい。よ、よろしくお願いします」
エミリーが小さくお辞儀をする。本当に人形のような可愛らしさを持つ子だな、と思っていると、はしゃいだ霧峯がエミリーに飛びつき、その頭を
まるで姉妹のような霧峯とエミリーのじゃれ合いにやや苦笑しながらも、私は青く澄んだ空を見上げて
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