(10)四方の護り
スクランブル交差点に立つ異常な生物。無機質なアスファルトに突き刺さる両脚は神殿の柱のように在り、その上体は大地そのもの。五メートルはあろうかというその巨体に立ち向かうはその半分もないちっぽけな人間。
それでも、私と少女は静かに構えた。
「博貴、けっこう強そうな感じかな」
「少なくとも、ちょっとどころじゃないな」
リトアスが
「これは、海上でやらないと不味いな」
校長先生に
「空間転移、平面展開」
一瞬で世界を転じる。光陰の後に目に飛び込むのは
「そんな裏ワザを持ってたのね」
「平面展開や空間移動なんて高レベル過ぎて使える人はいないが、この技石があれば攻撃こそできないが色々なことができる。ここなら、存分に戦える」
「ヒット・アタック」
空いたリトアスの背後に
「霧峯、
空中で
「流星剣」
上段から大きく振りかぶっての一撃は、その輝きの強さにもかかわらず、リトアスの身を
「刃を返す究極の殻を。
技令で強化し、剣で受ける。しかし、身体は
「円陣」
たまらず、防御の陣を布く。が、かの
「き、霧峯、間合いを離せるか」
「ちょっと、ムリ。離そうとすると攻撃の
確かに、見れば先程からリトアスの腕は少女を狙うと同時に、その先を
だが、あの暴風は円陣のような一枚の壁では容易に打ち崩してしまう。ならば、守りの壁を厚くするより他にない。
集中する。内田の解放戦で感覚的には掴んでいた。
集中する。戦うべきは自分。英雄の光を
「霧峯、飛び
霧峯が目を丸くする。が、それも一瞬。
そこに、総動員をかける。水面に
「
思えば『陣』の『形』を描く技令なのだ。その可能性は無限に存在する。ただ、自分の技力に限界がある以上、八方は守れない。ならば、圧縮して四方を
光の線が霧峯とリトアスの間に割って入る。構わずに振り下ろされる腕。本来であれば少女を撃ち落とす事象。それを眼前に控え、少女はナイフに力を
「行けぇ」
「博貴、
霧峯が右腕を振り上げる。合わせて私も
「レイニン・ナイフ」
同時に霧峯が右腕を振り抜く。放たれる四本のナイフ。が、次の瞬間には左腕より四本のナイフが飛び出す。さらに、
「流星剣」
霧峯の攻撃を剣で受けながら、さらにリトアスの間合いに入る。光陣を破ろうと伸びきった
「殺す、ということだ」
「よもや、この姿で敗れようとは、な」
「な、何を」
「
リトアスが前のめりに倒れる。息はまだある。が、その肉体は既に半分以上の損壊に達しており、回復など
「
リトアスは
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