third life
第4話
――。
ここは、どこだ?
分からない。
ただ分かるのは。
――自分が死んでしまった、というより殺されてしまった。
その事実だけ。
果たして、誰に?
殺される直前までの記憶は――鮮明に覚えているのに。
確かその時、日差しが強かったので、相手の顔がよく見えなかった。
まあ、いいか。
俺はもう、死んだらしいから。
日差しが眩しく感じる。瞼越しに光を、熱を感じる。
ここがいわゆる天国なのだとしたら。
「ここでのんびりするのも、いいなぁ……」
日の光があったかい。
全身を伸ばしてみる。気持ちいい。
「んん――っ」
手を伸ばし、不意に空の手に触れたものがあった。
伸ばした手を、それに触れながら確認する。
「これって――木、だよな……?」
天国には木が生えているのか?
というか、この場合、どちらの天国になるのだろうか。あちらなのか、こちらなのか。そういえば、頬や腕、要所要所にチクチクとくすぐったい感触が伝わる。
まあとりあえず――失った命は戻らないのだから、ここで楽しく生きていこうかな。
そうして立ち上がり、目を開く。
「…………」
目を開くとそこは――まるで異世界。
天が近くにあり、見えた地平線には海がない。
「地上じゃ、ない……」
そう。
今空のいる場所は。
地上ではなかったのだ。
空が先程受けた説明。
その中にあったはずだ。この島の――詰まるところこの浮遊島の名前が。
「スカイジャンジー……だったか?」
幸い、というべきか、不幸というべきか、周りには誰もいない。
もしも、もしも死んだとして。
ここに転生されたのだとしたら。
「容姿とかって、変わってたりするのか……」
それこそ、周りに人がいないから分からない。――そもそも、何かいたとして、それが人なのかさえ分からない。
天使類、といっただろうか。もし、そうなのだとしたら、言葉の通り、天使に近しい何かがあるのだろうか。羽が生えていたり、天使の輪があったり。――もしくは、空を殺したあの者のような感じだったり。
まあ、こちらの天使がどんな風なのかは知らないので、深くは気にしないでおこう。
さて、これからどうしたものか。
行く宛もなければ、何をすればいいかも分からない。
「あれ。もしかして」
――また、詰んだ……?
一度目の人生が終わり、二度目の人生が始まったと思ったら、その人生も終わり……。
「この世界の摂理が分からない……」
歩いていても、誰もいないし……。
まさに、路頭に迷っていた、その時。
少し先から、翼を背中に携えた――天使が、こちらに向かってきた。
そして、開口一番。
「勇者?」
――そんなことを、空に向かって言った。
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