第301話 番外編 29


その時、類のスマホが鳴った。


旭からのビデオ通話だった。


類が電話に出ると、旭はめずらしく慌てふためいていた。


「類!、今すぐこの動画を見て! いいか! 落ち着けよ! とりあえず見たら、私達と寺に行こう!」


「旭、何言ってんだよ。俺、今、それどころじゃ…。」


類がそう言いかけている途中で、旭は秋田のパソコンの画面を移した。


その動画は、先日のアパートでの動画だった。


そばにいた葵もその動画を一緒になって見た。



類の顔がだんだん青ざめてきた。


女の幽霊が類の背中におぶさったのを見て、類は泡を吹いて腰を抜かし、その場に倒れた。


「類! 大丈夫か?」


類が落としたスマホの中で旭が叫んでいた。


葵がそのスマホを拾い上げた。


「あの…、この連中…、西高のヤツらだよな。」


葵が言った。


「お兄ちゃん!」


画面から突然凜が顔を出した。



「凜! おまえ、どうしたんだよ?」


「お兄ちゃんこそ、どうしたの? 何で木下君と一緒なの?」


「それは、その~…。ともかく! こいつら俺の高校のヤツらだ! おまえの学校の生徒にこんな迷惑かけてたとは! 俺がシメとくから。すまない。」

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