第300話 番外編 28


 類はお堂の中で葵を待っていた。


類の胸はドキドキと音を立てて高鳴った。


先日から肩や首が痛かったり、体が重かったりしたが、葵と会える喜びで体の不調も感じない類であった。


その不調は背中に怨霊がおぶさっているせいだとも知らず…。


「可愛い葵ちゃん! 運命の出会いを果たしたら、会えた喜びを噛みしめあって、その後一緒にパフェを食べに行こう! 早く来ないかなぁ~♪♪♪」


お堂に登る階段に人影が見えた。


類はとっさにお堂の中に隠れた。


葵が中に入ってきたら、いきなり振り向いて驚かそうと思ったのだ。


お堂を昇る足音が、一歩一歩近づくにつれて、類の心臓は爆発しそうになった。


ついに足音は最後の段を上った。


今だ!


類は振り返った。


「葵ちゃぁ~~~ん!」



「!!!!!!!」


「!!!!!!!」


類の目の前には、眼光するどい筋肉隆々の超絶ヤンキー高校生が立っていた!


「ひやぁぁぁぁ~~~!!!!」


類の情けない叫び声が、お堂を突き抜け山一帯に響きまわった。


「おまえが…Rui Kinoshita? ルイ…って、女じゃなかったのかよっ!」


「あなた様こそ、葵なんて名前、女の子と思ってました…。」


「紛らわしい名前してんじゃねーよっ!」


「ひやぁぁぁぁ~~~!!!!」

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