第298話 番外編 26


 放課後、類は以前、親友・乃海とノエルが運命の出会いを果たしたアプリの宝探しゲームで、自分もそんな出会いを期待しつつ、宝を入れてメッセージを残した山の頂上のカッパを奉ったお堂に向かっていた。


類の残したメッセージ、



― 10th Nov 2018 Rui Kinoshita

 夢に出てきた君をずっと君を探してる。連絡下さい。ruikinoshita@******



これに反応してくれた人が現れた。


類のスマホに見知らぬアドレスからメッセージが届いた。



あなたの残したメッセージを見て、デジャヴかと思いました。


運命を感じています。是非会いたいです。


会って話がしたいです。放課後、お堂で待っています。    栗原葵



「キターーーーー! 俺にやっとモテ期がやってきたぁぁぁーーーーー!」


類はメッセージを見て狂喜乱舞した。


放課後のチャイムが鳴ると同時に教室を飛び出した。


「あ! ちょっと類!」


旭が呼びかけたのにも気付かずに、お堂に向かって猛ダッシュした。


「栗原葵ちゃん! 凜と同じく苗字が栗原かぁ…。この苗字ってことは、きっと美少女な気がする! いや、美少女である予感しかないっ! 葵って、女の子らしい可愛い名前だなぁ…。待っててねぇ~葵ちゃん~! 俺、すっとんで行くからぁ~!」



「類のやつ! 見せたい物があるっていうのに!」


旭は軽くイラついた。


「旭! ほんとなの? 早く見せて!」


凜が旭のもとにやって来た。


あれ以来、二人は親友になっていた。


旭は自分とは全くタイプの違う凜は、別の世界の住人だと思っていたが、凜の意外な一面を見て、凜に惚れこんでしまった。


凜は凜で、自分の周りにいる人たちと全く違う、おもしろい発想の旭に惚れこんでいた。


「今泉さん、栗原さん、ごめん! 待った?」


秋田が二人のもとに息を切らしてやってきた。


「大丈夫! じゃ、見ようか!」


秋田はパソコンに安藤からもらったメモリーカードを差した。


この間のアパートでの映像だ。

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