第294話 番外編 22
押入れの中で4人は心臓がバクバクいった。
類は恐怖で意識を失いそうだった。
押入れに開いていたいくつかの小さな穴から部屋の中の様子が見れた。
そして、秋田直行が入ってきた。
旭の言うように、秋田の目は異様につり上がっていて、顔色は青黒かった。
体全体から真っ黒なオーラを出しているようだった。
以前の彼とは別人のように変わり果てていた。
秋田は押入れをチラッと見ると、突然向きを変え、ものすごい形相で睨んだ。
類は泡を吹いて倒れた。
安藤がとっさに類を抱えたので、音が出ずに済んだ。
秋田はまた向きを変えて床に座り込んだ。
類を除く押入れの三人は安堵した。
アパートの外から数人の話し声がしてきた。
その声は近づいてきて、旭たち4人と秋田のいる部屋に入ってきた。
「ちゃんと持ってきたか?」
4人のグループの一人が秋田に言った。
4人は見るからに不良高校生といった感じだった。
旭や類の通う望みが丘高校にはいないような、見るからにタチの悪い高校生だった。
秋田は4人に袋を差し出した。
グループの一人が中を確かめた。
「ちゃんと集められたようだな。」
グループの男達はニヤニヤ笑って秋田を見た。
「また来週な。ちゃんと集めてこいよ! じゃないと…わかってるだろうな!」
グループの男はそう言って立ち去ろうとした。
その時、類の意識が戻り、寝ぼけてたのか訳が分からなかったのか、類は立ち上が
ろうとして押入れの天井に頭を打った。
旭たち4人は頭を抱えた。
「誰だ! そこにいるのは!」
男達は叫んで押入れを開けた。
「うわぁーーーーー。あああああああーーーーーー。ぎゃぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー。」
男達が押入れを開けた瞬間、類の叫び声が鳴り響いた。
皆、鼓膜が破けそうになって耳を塞いだ。
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