第293話 番外編 21


「秋田がここに来た次の日、顔つき変わって性格まで変わっちゃって、それまで苛めてた同級生たちをボコったんだって。それで金を出せって、巻き上げるようになったんだって。そいつらから巻き上げるだけじゃなくて、体育の時間に生徒がいなくなった教室や、部室からお金を盗んでるっていうの。地味だった子がいきなりそんなに変わるなんておかしくない?」


「霊が乗り移ってパワーアップしちゃったとか?」


凜がワクワクしながら言った。


どうも凜はこの手の話が好きなようだ。


「どうだろ? それもあるかもしれないけど…。霊って、死んだ人の魂でしょ? 秋田をあそこまで変えられるようなパワー持ってるのかな? 私にはそうは思えないんだ…。」


「どっちにしても、ちょっとヤバイんじゃないか? あんまり顔突っ込まない方がいいと思うけど…。」


「そーだよ! 安藤先生の言う通りじゃん! もう帰ろうよぉ~!」


類はジタバタわめいた。


「秋田は、週に一回、放課後ここに来るらしいんだ。もうすぐ来ると思う。この目で見て、何があるのか確かめてみたい!」


「え~! やばいじゃん! 鉢合わせたら大変じゃん!」


類の顔から血の気が引いた。


「押入れの中に潜んで、秋田が来るのを待とう。」


旭はそう言うと、みんなを押入れの中へ入るように促した。


「ちょっと待ってて、すぐ戻る。」


突然、安藤が押入れの外に飛び出した。


「ちょっと! 先生! 危ないって!」


皆が止めたが、安藤はすでに外に出てしまっていた。



しばらくして安藤は戻ってきた。



その後すぐに外から誰かがやってくる気配がした。

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