第292話 番外編 20
「秋田って知ってる? 秋田直行。私と同じクラスの。」
「あー、知ってる! 話したことないけど。めっちゃ地味だよな。なんで旭アイツの事気になってんの? あーいうのが好みだったっけ?」
何故旭があんな地味な、いるのかいないのかもわからないような同級生が気になっているのかわからなかった。
「秋田直行…、聞いたことないな…。うちの学校にそんな子いたっけ?」
向こうは知っていても学園のアイドル栗原凜がその地味な存在を知るわけが無かった。
「秋田ってさ、地味だけど普通だったじゃん。だけど最近おかしいんだよ。顔の感じも変わったし…。なんか目がつり上がってきたし、パっと見、顔が真っ黒なんだよ。よく見ると肌色なんだけど、印象が真っ黒なの。絶対おかしいと思って、あいつの身辺探ったの。」
「別におまえがそいつの事が好きとかいう訳ではなかったんだな。」
安藤はニヤっと笑った。
「で、何でその秋田とかいうヤツ、変わっちゃったの?」
安藤目当てに着いてきた凜だったが、旭の話に興味を持って食いついてきた。
「なんかね、秋田って、地味なのと、何されても言い返さずにニヤニヤしてたことから、イジメっぽいことされてたらしいの。でね、最初はパシリくらいだったんだけど、そのうちエスカレートしてきて、幽霊アパートって有名なここに肝試しに行ってこいって言われたらしいんだ。もちろん一人で行って、ちゃんと証拠に映像も撮ってこいって。しなかったら酷い仕打ちをするって脅されたらしくて、ここに来たらしいんだよ、秋田一人で!」
「幽霊アパート! やっぱここ、幽霊出るんじゃん! もう帰ろうよぉ~。帰ってパフェ食べてゲームしようよぉ~!」
類が泣きそうな顔で訴えたが、皆スルーで旭の話に集中した。
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