第291話 番外編 19


 階段を登りきった先には、誰がこんな所に建てたのか、有り得ない感じに木造2階建てのアパートがあった。


そのアパートは、いつ建ったのかわからないくらい朽ち果てていた。


アパートの壁にはツタがからまり、まわりも人の手入れが無いせいか、雑草が生え放題で、アパートを囲むように木が生い茂り、その一帯はどんより暗くなっていた。まさにホラー映画に出てくるようなアパートだった。


当然人が住んでいる気配は無い。


このアパートは下に2つ、上に2つ、合計4世帯が入れるようになっていた。


1階の右の部屋だけドアが開いていた。


他のドアは閉まっていて、どうも入れるようでは無かった。


「旭~、まさかここに入るなんて事、しないよねぇ~? するわけないよねっ!」


類は旭にすがるように言った。


「ここに来たかったの。」


「マジでぇ~~~!」


類は泣き叫んだ。


「ここ、何かあるの?」


安藤が旭に問いかけた。


「気になってるヤツが来るの。」


「誰なんだよ、そいつ? こんなとこに何しに来るの? おかしいだろ!」


「ちょっと、ここじゃ目立つから中に入ろう!」


旭はそう言うと、アパートの中に入っていた。



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