第288話 番外編 16


「なんかこの辺、怖くない? 幽霊とかゾンビとか出てきそうな雰囲気じゃん。」

類はもうすでに帰りたがっていた。


「私もなんだか怖くなってきた~。」


凜は怖がるフリをして安藤の耳にダイレクトに入るように囁いた。


何なんだ、この女の声は! 


骨伝導の如く、声が脳髄に突き刺さってくる!!!



安藤は鳥肌が立って、凜の方に振り向いた。


凜はこの瞬間逃がすまじ! とばかりにお得意の360度超絶笑顔プラス怯え顔をしてみせた。



「あ、みんな帰っていいよ。ここからは大勢より一人のほうがいいかもしれないし。」


「こんな人気の無いおどろおどろした場所でそんな訳のわからないやつと旭を二人っきりで会わせる訳にはいかないだろ! 俺も行く。」


安藤がそう言うと


「じゃ、私も行く。」


凜がソッコー従った。


「えー、マジ~? 栗原は俺と先にパフェでも食べて待ってようよ~!」


類は文句タラタラだったが、3人がスタスタと先へ行ってしまうので、仕方なく後を追った。



路地の終点が公園の入口だった。



「何ここ…。なんでこんな場所に公園があるの? 不気味すぎ…。しかも袋小路じゃん…。」


類は全身鳥肌を立てて恐れおののいた。


「袋小路って…縁起悪いとか言うよね。不幸が襲ってくるとか、わるいものが溜まるとか…。」


凜もさすがに怖くなっているようだった。

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