第286話 番外編 14


安藤が苦虫を噛み潰したような顔をしている横で、旭が言った。


「ここに行きたいんだけど…。あんたどうせ暇なんでしょ?」


「暇って、何なんだよ! ま、連れてってあげないこともないけど!」



旭は安藤にスマホを見せた。


少し離れた公園の横のようだ。


歩いていくには遠いが、車ならすぐ着きそうな距離だった。



「ここに、何があるの?」


安藤は車を走らせながら旭を見た。


「ちょっと、確かめたいことがある。」



「それ終わったら、パフェ食べに行こうぜ! 果物屋がやってる店で、むちゃくちゃ旨い店あるんだ~。栗原、何パフェが好き?」


「私はぁ~、プリンパフェかぁ~、苺パフェかなぁ~。」


「さすが栗原、パフェの好みもかわいいなぁ~!」


凜はいつもの360度超絶スマイルをしてみせた。


もちろん類にではなく、バックミラーに見える安藤に。



安藤はバックミラーから伝わってくる殺人ビームのような凜のスマイルに鳥肌が立っていた。



…この女、戦国時代に生れていたら…天下を取っていたやも知れぬ…。



安藤は、生れてくる場所と時代を間違えた凜に、同情と哀れみの念を抱きつつ、バックミラー越しに見た。



凜は凜で、バックミラー越しに目があった安藤に


この男…、落ちるのは時間の問題…フッフッッフッ…フォッフォッフォッ!


と、根拠の無い自信に満ち溢れ、目からビームを出しながら悪そうな笑みを浮かべていた。

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