第285話 番外編 13


性懲りも無くまたこの場所に来てしまった…。


 数日後の夕方、安藤はまた私立望みヶ丘高校前に車を止め、車にもたれ掛りながら、来る途中に買ってきたカフェラテを立ち飲みしていた。


「あ! 木下君ちの運転手さん! 木下君のお迎えですか?」


栗原凜が目をキラキラさせて、360度完璧な笑顔で安藤に駆け寄ってきた。


「…。だからぁ、俺はアイツの運転手なんかじゃ…」


言いかけた途中で類もやってきた。


「遅くなってすまない、安藤。栗原! 送って行くから乗ってけよ!」


類はいつものように前髪を男前風にかきあげながら凜を見た。


「え~! いいのぉ~? じゃあ~、私、安藤さんの横に座りたいなぁ~。」


類はキラキラしつつも獲物を狙う目で安藤を見ながら言った。


その時、旭が校門から出てきた。


今日は前回と違い、旭は安藤の元へやって来た。



旭め…、俺の事が気になってしょうがなくなったんだな。


今頃気付いたのか?


遅い! 遅すぎるくらいだ!


フッ、しょうがねーな。


大人の俺が許してやるとしよう…。


さあ、おいで!



安藤は不敵な、いや不気味な笑みを浮かべて目を瞑り、カフェラテを飲んだ。



「あんたいつまで突っ立ってる気? 行くよ!」


旭はすでに助手席に乗ってシートベルトを締めていた。



行くってどこにだよ?


まぁ、おまえの為にどこにでも連れてってやるよ…。



安藤は、頭の中でそんな独り言を言いながら、ニヤけて横の旭を見ようとした時、


後ろに類と凜が乗っているのに気がついた。


な、なんでぇ~!

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