第279話 番外編 7


「駅前のロワイヤルホテルに行ってくれる?」


旭はしょうがなさそうに助手席のドアを開けて中に座り、足を組んで安藤に言った。


「…何? ホテルって?」


そう言いながらも安藤は駅前に向かって車を走らせた。


「あー、待ち合わせてるの。」


「ホテルで? 誰と? まさか男じゃねーよな?」


旭は質問攻めにしてくる安藤を面倒くさそうに横目で見た。


「男ですけど、何か?」


「は? おまえ何考えてんの? 高校生が学校の帰りにホテルで男と待ち合わせだと?」


そうこうしているうちに車はホテルの駐車場に着いた。


旭がさっさと車から降りると安藤もついてきた。


「送ってくれてサンキュ。じゃね。」


「じゃね、じゃないだろ! ちょっと待てよ!」


旭はロビーの方へ向かって行った。


安藤もギャーギャー文句を言いながら旭の後を付いて行った。


「旭!」


二人の横から声がした。


振り向くと、長身の超イケメンが立っていた。


「光!」


旭は嬉しそうに男に抱きついた。


「しばらく見ないうちに大きくなったなー! ん~、いや、レディーになったな! よしよしよしよし!」


男はそういうと目を細くして旭の頭を撫でた。


旭は他の人間には見せたことがないような顔で男にじゃれていた。


「おい、旭、誰なんだよ? まさかおまえの彼氏じゃないよな?」


安藤は思わぬイケメンの登場に敵対心むき出しになった。


「ん、旭、この方はどなた?」


旭は光に言われて安藤をチラミした。

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