第278話 番外編 6


 安藤はしばらく車を走らすと、旭を見つけた。


そして旭の歩くペースに合わせて車を横に走らせた。


旭は安藤の方を見た。安藤は窓を開けた。


「おう!久しぶりだな。」


安藤は旭に声をかけた。


「あんたこんなとこで何してんの?」


旭はそっけなく言った。


「こっちに用事があって来たら、たまたまお前が通りかかってたという訳だ。」


安藤はフっと笑みを漏らして言った。


「あっそ。じゃね!」


旭は角をくるっと曲がってスタスタ歩いていった。



あっそって!


何だそれ!



安藤は意地になって旭を追っかけた。


「何でついてくんの? そんな低速運転してたら他の人に迷惑でしょ。」


「お前! 久しぶりに会ったのに、何なんだよ! その態度は!」


安藤は不満そうに言った。


「あんた! ほんとにかまってちゃんだね!」



かまってちゃん!


かまってちゃん!


この俺がかまってちゃん???



幼児期から神童と呼ばれ、頭が良いだけではなく運動も抜群、生徒会長に選ばれるほど、生徒だけでなく教師からも信頼が厚かった。


寄ってくる女もたくさんいたが、クールに冷たくあしらっていた俺が!


この俺が!


かまってちゃんだとーーーーーーー!


安藤はいまだかつて経験したことの無い侮辱に、頭の中がパニックすぎて崩壊しはじめていた。

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