第275話 番外編 3

 翌日の夕方、私立望みヶ丘学園高校の前に、ドデカイ高級ドイツ車が停まっていた。


女子高生たちは、中に乗っている安藤を見て、キャーキャー騒いでいた。


「あの人、カッコよくない?」


「車もカッコい~! 助手席に乗りたい~!」


「うちの生徒を待ってるのかな?」


「マジ~? 彼氏とか? いーなー! 私もあんな彼氏欲しい~! 大学生かな? 社会人かな?」



安藤は女子高生たちに騒がれてまんざらでもない様子だった。


しかし! 


彼にとって、騒いでいるその他女子高生はどうでもよく、待っているのは旭だった。



「お! 安藤先生! どしたの? こんなとこで。」


類だった…。


類は遥か遠くからこの車を見かけただけで安藤だとわかった。


「…んだよ、おまえか。」


安藤はどうでもよさそうに言った。


「何なに~? またどっか楽しいとこ連れてってくれるの? 先生~!」


類が能天気に安藤に聞いた。


安藤が呆れている所に、類の狙っている栗原凜が校門から出てきた。


「おっ! 栗原~! ちょっとこっち来て~!」


類が凜に大声で呼びかけると、凜は安藤と類の元へやって来た。


「木下君、何?」


学園のアイドル、栗原凜は、360度、どの角度からも完璧な笑顔で類に言った。



ま、ま・ぶ・し・い・ぃ・~~~☆



類は凜の笑顔から溢れ出る光にクラクラした。


ついでに安藤も、凜は別に自分の好みのタイプでは無いが、完璧なアイドルの笑顔に目をシパシパさせた。

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