第263話
ばーちゃんは、本当に強い人だったんだと思う。
というか…自分が辛い事より、じーちゃんと暮らす事の方を守りたかったんだろう。
ばーちゃんが、いつも底抜けに明るかったのは、そういう暗い気持ちを振り払いたくて、必要以上に明るく振舞っていたのかもしれない。
小さい頃からずっと一緒にいたのに、家族でも知らない一面ってあるんだな…。
思い出の中のばーちゃんが、すごく悲しく見えた。
「じーちゃん、自分の人生を後悔してる?」
俺はじーちゃんに聞いてみた。
じーちゃんはしばらく考え込んでいた。
「…後悔してない。」
「そっか。」
「きっと…澄ちゃんだって、自分の人生、やりきったんだと思う。」
「…そうだね。」
「…でもな…、残りの人生がだんだん少なくなってきて過去を振り返ると…、もっと自分に正直に生きてきても良かったんじゃないかって…そう思うんだ。周りに迷惑かけるわけにはいかないとか、あの人の為に自分は我慢しようとか、そう思って取った行動が、結局人を傷つけていることもあるなってな…。」
「乃海、おまえは自分の気持ちを大事にしろよ!」
俺はそう言ったじーちゃんの顔が目に焼きついて頭から離れなかった。
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