第261話

「ステキな写真…。」


ノエルが呟いた。


「お似合いかな?」


じーちゃんがおどけて言った。


「はい、すごくお似合いだと思います。乃海君にも似てますね。お祖父さんだから当たり前ですよね。」


「ん? 乃海よりワシの方が男前じゃないか?」


じーちゃんは調子に乗って言った。


「絶対俺のが男前だし!」


老人相手に大人気ないと思いつつも俺はムキになった。


「澄ちゃんが、俺と二人の写真が無いから撮りたいと言って、写真館で一枚だけ撮ってもらったんだ。懐かしいなぁ。大事に取ってくれてたんだ。」


「私、その写真は見たことありません。おばあちゃん、乃海くんのおじいさんと二人だけの宝物にしておきたかったのね。」


澄子さん、なんか可愛い人だなと思った。


実際かわいい人だったけど、性格も可愛かったんだろうなと思った。


そんな可愛い人に酷い仕打ちをした澄子さんの旦那は許せん! と今さらながらも怒りを感じた。


ノエルのお祖父さんなのだから、そんな風に思っちゃ悪いとは思うけど…。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る