第260話


「これだけ。手紙は入ってなかった。」


じーちゃんはあっさり言った。


「…そうなんだ。」


俺は少し肩透かしをくらったような気持ちだった。


さぞかし今までの想いを込めた感動的な手紙が入っていると思っていたからだ。


来世の約束の事も、一切無し。


何故なんだろう?


澄子さんは、生まれ変わってまたじーちゃんに会いたいと思ってたんじゃなかったんだろうか?


ノエルもそう思っていたみたいで、少し驚いているようだった。


「ちょっと見せてもらっていいですか?」


ノエルが聞いた。


「どうぞ。」


じーちゃんは笑顔で答えた。


俺とノエルは写真を手にとって見てみた。


若かりし日のじーちゃんは、今からはとても想像がつかないくらいハンサムで、じーちゃんに失礼だけど、男の俺から見てもカッコよかった。


澄子さんはというと、ノエルのおばあさんだけあって、やっぱりノエルに似ていた。


色白で儚げで、まさに守ってあげたい! という気持ちになるような感じだった。


だけど、どこか芯の強さのような物を感じさせるところがあった。

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