第259話

 ノエルは昨日と同じようにお茶を入れてくれた。


そして澄子さんがかつてしてたようにお茶菓子を添えて出してくれた。


「ありがとう。そうしていると、まるで若い頃の澄ちゃんを見ているようだ。」


じーちゃんは嬉しそうにノエルに言った。


ノエルは少し照れていた。


「そういえば、澄子さんがからの手紙って、何が書いてあったの?」


俺は何気なくじーちゃんに聞いた。


ノエルは俺を見て、それは聞いてはいけないのでは? という顔をして焦っていた。


「あ…、それは澄子さんとじーちゃんの秘密だからね。言わなくていいよ。忘れて…。アハハハ…。」


俺は必死に取り繕った。


「あの封筒か?」


じーちゃんは気にするようでもなく、ポケットから封筒を取り出した。


「これ見た時、澄ちゃんらしいなと思ったよ。」


じーちゃんは封筒を開けて中身を出した。


封筒の中には、じーちゃんと澄子さんが二人で写った写真が一枚と、小さなマッチ箱が入っていた。


「…、これだけ? 手紙とか入ってなかったの?」


俺は聞いた。

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