第256話

ノエルが袋を開けると甘いにおいが立ちこめた。


「ここのクロワッサン、有名なんだよ。いろいろ種類があるんだけど、私はチョコとさつまいもが好きなの。」


ノエルはニコニコしながら俺にクロワッサンを見せた。


そしてミルクティーも一緒に買ってきてくれていた。


「…うまい!」


「そう? よかった。」


「ここって、支店とかあるのかな? 俺の街にもあったらいいのに…。」


「どだろ? 食べたくなったら私が持っていくよ。旭ちゃんと類君にも食べさせてあげたいし。」


「…旭に見せたら、全部食われてしまう気がする…。食い物に関してあいつは危険だ。」


「いいなー、旭ちゃん! あのビジュアルでその性格! ギャップ萌えだよね!」


「萌えなのか…? 萌えかぁ~?」


「あ、そういえば、旭ちゃんと言えば、安藤先生がお礼したいから連絡先教えてほしいって言ってた…。」


「は?安藤が? アイツなんかまた俺たちを陥れようと画策してんじゃねーだろな?」


「ん…そんな感じでは無かった気がするけど…。でも、個人情報だし、乃海君、旭ちゃんに教えていいかどうか聞いてみてくれないかな?」


「ん…じゃ、明日にでも言っとくわ。」


日当たりのいいテラスで海を眺めながら食べるクロワッサンは格別だった。


横でノエルが笑ってるし、幸せってこんな事なんだなって思った。



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