第255話


 どこか遠くで俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。


この声は、俺が大好きな、ずっと聞いていたいと思っていた声だ。


「乃海君!」


夢の中でノエルが立っていた。


白のオーバーサイズのニットにスキニージーンズを履いている。


スキニージーンズって、いいよなぁ…。


俺、女の子のこういうシンプルな格好って好き。


ノエルに似合ってるなぁ…。


ノエルは添い寝する為に来てくれたのかな?


俺は布団をはぐって腕を差し出した。


「どぞ。」


「何寝ぼけてんの! 一緒におじいちゃんのとこに行くって言ってたじゃない!」


ハッ! 夢じゃなかった。


「ロビーで待ってるね!」


ノエルはそう言うと部屋を出て行った。


夕べ遅くまで石田さんと盛り上がっていたので、次の朝はかなり遅くまで寝てしまっていたのだ。


急いで顔を洗って服を着替えた。


 ロビーへ行くと、ノエルは外のテラスの椅子に座って待っていた。


「ごめんなさい。遅くなりました。」


俺はノエルにペコリと頭を下げた。


「朝ごはんまだでしょ? クロワッサン買ってきたよ。」

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