第253話

 ラジオを持っていった日、俺はじーちゃんの施設に泊まった。


夜はまた石田さんと食事をしながら話をした。


ノエルを紹介した時に感じたとおり、石田さんはノエルの事がわかっていたみたいだ。


「君たち見てるとさ、運命って本当に緻密で、そして奇跡的に絡み合っているるんだな~って思う。」


石田さんはビールをぐいっと飲みながら言った。


「石田さん、ノエルを見た時、何か見えてたんじゃないですか?」


俺が聞くと、石田さんはフフフと笑った。


「ノエルちゃんの後ろに澄子さんがいたよ。」


「やっぱりそうか。」


「おじいちゃんには辛い知らせになったね…。」


「俺…罪悪感しかないです。もっと早く動けていたら、もしかしたら間に合ってたかもしれないし…。」


「それは乃海君のせいじゃない。やっぱりね、どうやってもダメな事ってあるよ。そうなる運命だったのかもしれない。でもさ、澄子さんのメッセージはおじいちゃんにちゃんと伝わったじゃない。君のおかげだよ。おじいちゃん、君の事、すごく感謝してると思う。」


「そうかな…。」


「そうだよ! 君がいなきゃ、澄子さんのメッセージすら受け取ることが出来なかったんだから!」


石田さんの言葉に俺は救われた。

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