第252話

 廊下の窓からは、海に沈む真っ赤な夕日が見えた。


何故だか今日は空と海がやけに赤く染まっているような気がした。


俺はノエルの手を握って、真っ赤な空をずっと見ていた。





 その日は朝からとても冷え込んでいた。


大陸から寒波がやって来て、例年よりも遥かに下回る気温だった。

 

 

そんな中、じーちゃんの葬儀はしめやかに営まれた。



 じーちゃんの訃報を知らせを受けたのは、俺とノエルが施設を訪れてから何日か経った後だった。


高齢で体が弱っているにせよ、あんなに元気だったじーちゃんが亡くなるなんて信じられなかった。


知らせを聞いて慌てて家族で駆けつけた時は、すでに亡くなった後だった。


石田さんが言うには、前の晩までいつもと変わらず元気でいたそうだ。


朝、部屋に行くと、普段ならすでに起きている時間なのに、じーちゃんは寝たままだった。


声をかけたがしばらく待っても反応せず、体を触ってみたらすでに冷たくなっていたそうだ。じーちゃんは寝たまま逝ったらしい。


死に顔はとても穏やかだった。


枕元にはあのラジオが置かれていた。


そしてじーちゃんの手には、澄子さんからの手紙があった。


あれからずっと、肌身離さず寝る前に読んだりしていたんだろう。






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